社債を買入償還した時の仕訳・会計処理
自社の発行した社債を、満期日前に市場から買い入れるなどの方法により償還することを買入償還といいます。
社債は借入金の一種であるため、自社の発行した社債に関しては毎期利息を支払わなければなりません。資金的な余裕があるとき、自社発行社債を買入償還することによりこれらの出費を抑えることができます。
社債を買入償還した時の会計処理は、以下の通りです。
1.社債の簿価調整 | 社債の発行価額と額面金額とが異なる場合、償却原価法により社債の帳簿価額を調整することになりますが、買入償還に際し、買入償還時までの帳簿価額の調整を行います。この調整により社債の帳簿価額は買入償還時までの金利調整差額を反映したものとなります。社債の帳簿価額の調整は『社債利息』勘定を使って行います。 |
2.社債利息の支払 | 買入償還する社債に関し、約定利息の支払いを行います。社債利息を支払った時は『社債利息』勘定を使って記帳します。 |
3.社債の消去 | 買入償還する社債の帳簿価額(発行価額+金利調整差額)を借方に記帳し、社債を消去します。社債の帳簿価額と買入価額との差額は『社債償還損』または『社債償還益』勘定を使って記帳します。『社債償還益』『社債償還益』は損益計算書上、特別損益の区分に表示されます。 |
なお、満期償還、抽選償還に関してはそれぞれリンク先のページでご参照ください。
(具体例1-社債全額を買入償還した時の会計処理)
x1年4月1日に以下の条件で割引発行した社債をx2年9月30日に99,000円で全額を買入償還した(端数利息を含む。なお金額は当座預金より支払い)。なお発行価額と額面金額との差額は償却原価法(定額法)で処理しています。x2年9月30日の仕訳を行いなさい。
(社債発行条件)
発行日x1年4月1日、満期日x6年3月31日
額面価額100,000円、発行価額97,000円、約定利息(クーポン利息)0.5%(なお利払日は毎年3月31日であり、当座預金より支払う)。
(計算過程)
社債の帳簿価額の調整:(100,000-97,000)×6月/60月=300円(社債利息で処理)
社債利息の計上:100,000×0.5%×6月/12月=250円(社債利息で処理)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
社債 | 97,600 | 当座預金 | 99,000 |
社債利息 | 550 | - | - |
社債償還損 | 850 | - | - |
x2年3月31日時点における社債の帳簿価額は97,600円(=97,000円+600円)となっています。払込額99,000円のうち250円はクーポン利息の支払分となりますので、x2年9月30日現在の帳簿価額97,900円(=97,600円+300円)と払込額のうち社債償還分98,750円(=99,000円-250円)との差額が社債償還損となります。
(具体例2-社債の一部を買入償還した時の会計処理)
x1年4月1日に以下の条件で割引発行した社債のうち額面50,000円分をx2年9月30日に49,000円で全額を買入償還した(端数利息を含む。なお金額は当座預金より支払い)。なお発行価額と額面金額との差額は償却原価法(定額法)で処理していた。x2年9月30日の仕訳を行いなさい。
(社債発行条件)
発行日x1年4月1日、満期日x6年3月31日
額面価額100,000円、発行価格97,000円、約定利息(クーポン利息)0.5%(なお利払日は毎年3月31日であり、当座預金より支払う)。
(計算過程)
社債の帳簿価格の調整:(100,000-97,000)×6月/60月×50,000/100,000=150円(社債利息で処理)
社債利息の計上:50,000×0.5%×6月/12月=125円(社債利息で処理)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
社債 | 48,800 | 当座預金 | 49,000 |
社債利息 | 275 | 社債償還益 | 75 |
x2年3月31日時点における社債の帳簿価額のうち、買入償還分は48,800円(=(97,000円+600円)×50,000円/100,000円)となっています。払込額49,000円のうち125円はクーポン利息の支払分となりますので、x2年9月30日現在の帳簿価額48,950円(=48,800円+150円)と払込額のうち社債償還分48,875円(=49,000円-125円)との差額が社債償還益となります(払込額の方が少なく済んでいるので償還益として処理)。
(関連項目)
社債発行時(割引発行)の仕訳・会計処理
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