前期以前に貸倒れ処理した債権が当期に回収された時の仕訳

前期以前に貸倒処理した債権が当期に回収された場合、回収可能となった理由に基づいて以下の通り処理することになります。

差額の発生原因 処理方法
貸倒処理の判断に誤りがあった場合 前期以前の財務諸表にさかのぼって修正します(修正再表示)。仕訳処理としては、前期までの損益の累積である『繰越利益剰余金』という純資産勘定を使って記帳します。
当期の状況の変化に起因する場合 当期の状況の変化に起因するものであるため、当期の損益とします(会計上の見積りの変更)。仕訳処理としては、『償却債権取立益』という収益勘定(営業外収益)を使って記帳します。

『償却債権取立益』勘定は損益計算書上、営業外収益の区分に表示します(以前は特別利益として表示されていましたが、金融商品会計に関する実務指針第124項の改正により現在では営業外収益として表示します。古い書物などをご参照の場合はご注意ください)。
なお、当期に貸倒処理した債権が当期に回収された場合は貸倒処理を取り消す処理を行います(詳細は当期に貸倒れ処理した債権が当期に回収された時の仕訳をご参照ください)。

(具体例1-貸倒債権回収・修正再表示)

前期に貸倒処理した売掛金10,000円が当期に現金で回収された。これは、前期に貸倒処理を行った時の判断が誤っていたためと考えられる。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
現金 10,000 繰越利益剰余金 10,000
(具体例2-貸倒債権回収・会計上の見積もりの変更)

前期に貸倒処理した売掛金10,000円が当期に現金で回収された。当期の状況の変化に起因するものと考えられる。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
現金 10,000 償却債権取立益 10,000

(関連項目)
当期に発生した債権が貸倒れたときの仕訳
前期以前に発生した債権が貸倒れたときの仕訳

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