ストーブやヒーターなどの暖房器具を購入した時の仕訳・勘定科目
事務所や店舗などにおいて冬季に使用する電気ストーブや石油ストーブ、オイルヒーター、遠赤外線ヒーター、エアコン、こたつなどの暖房器具を購入した時の仕訳は、当該暖房器具の価格により以下のように異なります。
購入価格 | 処理方法 |
暖房器具の購入金額が10万円未満の場合 | 暖房器具の購入価格が10万円未満の場合は『消耗品費』勘定で処理し、全額を購入時(設置時)などの費用として処理します。 |
暖房器具の購入金額が10万円以上20万円の場合 | 『備品』勘定などの資産勘定を使って資産計上し、減価償却の手続きによって耐用年数にわたって費用化します。ただし、一括償却資産として簡易処理を行うことが可能です。 |
30万円未満の特例(中小企業者のみ) | 資本金が1億円未満などの条件を満たす中小企業者等や個人事業主であり、かつ青色申告者については購入時(事業供用時)において『消耗品費』勘定などを使ってその全額を費用として計上することができます(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例。なお、この特例が認められるのは、対象となる資産の取得価額の合計額が年間300万円までとなります(期中開業などの場合は月割計算となります))。 |
上記以外の場合 | 『備品』勘定などの固定資産勘定を使って資産計上し、減価償却の手続きによって耐用年数にわたって費用化します。 |
なお暖房器具の購入金額(取得原価)には暖房器具の本体価格のほか、取り付け費用などの付随費用も含まれます。
また上記の金額の判定においての消費税の取り扱いは、消費税の経理方式により異なることとなります。すなわち、消費税の経理方式として税込経理方式を採用している場合は税込金額、税抜経理方式を採用している場合は税抜金額での判定となります(免税事業者は税込金額での判定です)。
なお、資産計上が必要な暖房器具は一般的には『備品』勘定などで処理し、耐用年数6年として償却計算を行いますが、業務用のエアコンなどでダクトを通じて相当広範囲にわたって冷房(暖房)するものについては『建物附属設備』として処理し、耐用年数13年にて償却計算を行うことにご注意ください(耐用年数の適用等に関する取扱通達2-2-4、別表第一・耐用年数表「器具及び備品-冷房用又は暖房用機器」「建物付属設備-冷房、暖房、通風又はボイラー設備」等参照)。
(具体例1-暖房器具の購入金額が10万円未満の場合)
会社で使用するオイルヒーターを購入した。オイルヒーターの購入代金は諸経費込で50,000円であり、現金で支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
オイルヒーターの購入代金(本体価格及び付随費用の合計)が10万円未満の場合にはその全額を購入時(事業供用時)の費用として処理することができます。
(具体例2-暖房器具の購入金額が10万円以上20万円未満の場合)
事業所内で使用する大型ストーブを購入した。大型ストーブの購入代金は諸経費込で120,000円であり、現金で支払った(当社では10万円以上20万円未満の資産を購入した時は一括償却を行うこととしている)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
一括償却資産 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
一括償却を行うかどうかは各資産ごとに選択できます(法人税法施行令133条の2第1項参照)。
(具体例3-暖房器具の購入金額が30万円未満の場合)
事務所内においてエアコンディショナー(エアコン)を設置した。なお代金は取り付け費用込で250,000円であり、その場で現金で支払った。(当社は資本金が1億円未満の中小企業者(青色申告法人)に該当する。なおこれ以外に本年度は30万円未満の資産の購入はない)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 | 250,000 | 現金 | 250,000 |
この特例の対象は『青色申告』を行う法人や個人のみですのでご注意ください。
(具体例4-暖房器具の購入金額が30万円以上の場合)
事務所内においてエアコンを設置した。なお代金は取り付け費用込で350,000円であり、その場で現金で支払った。(当該エアコンは建物付属設備に該当するものではない)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
備品 | 350,000 | 現金 | 350,000 |
エアコンの設置費用が30万円以上の場合は『備品(または建物付属設備)』勘定など(固定資産)を使って資産計上し、耐用年数にわたって減価償却を行います。
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