負ののれんに関する仕訳・会計処理の基礎

負ののれんとは、被取得企業の取得原価が被取得企業から受け入れた資産・負債の純額を下回る場合における当該差額をいいます。
なお、被取得企業の取得原価と被取得企業から受け入れた資産・負債の純額との差額はその大小から(正の)のれんと負ののれんとの2つに分類されます。

(正ののれんと負ののれん)
分類 内容 参照ページ
(正の)のれん 被取得企業の取得原価が、受け入れた資産・負債の純額を上回る場合の超過額を(正の)のれんといいます。

被取得企業の取得原価>受け入れた資産・負債の純額

(正の)のれんの会計処理についてはこれを資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却します。

(正の)のれんの会計処理
負ののれん 被取得企業の取得原価が、受け入れた資産・負債の純額を下回る場合の不足額を負ののれんといいます。

被取得企業の取得原価<受け入れた資産・負債の純額

負ののれんが生じた時はこれを当該事業年度の利益として処理します。

このページの下記参照

負ののれんの会計処理

上記の通り、負ののれんとは被取得企業の取得原価が、受け入れた資産・負債の純額を下回る場合の当該不足額をいいます。

負ののれんが生じた場合は、原則として、『負ののれん発生益』勘定を使って処理し、発生した事業年度の特別利益として処理することになります(企業結合に関する会計基準第33・48項、企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針第78項等参照)。

(具体例-負のれんが発生した時)

×1年4月1日期首においてA社(毎年3月31日決算)はB社を吸収合併した。B社の合併直前の貸借対照表は以下の通りである。A社の合併仕訳および決算時におけるのれんの償却に関する仕訳を示しなさい。

(B社の貸借対照表)
諸資産 5,000 諸負債 2,000
資本金 1,800
利益剰余金 1,200

1.合併に際し、A社はB社の株主に対し100株のA社株式を交付した。
2.A社株式の企業結合日における時価は1株当たり35円、B社の諸資産の時価は6,000円、諸負債の時価は2,000円であった。
3.A社の増加資本はすべて資本金として計上するものとする。

1.合併受入仕訳

(計算過程)
B社の取得原価:交付するA社株式100株×企業結合日におけるA社株式の時価@35円=3,500円
B社から受け入れた諸資産に配分される取得原価:6,000円(企業結合日における時価)
B社から引き受けた諸負債に配分される取得原価:2,000円(企業結合日における時価)
受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額:資産6,000円-負債2,000円=4,000円

のれん計上額:取得原価3,500円-資産負債に配分された純額4,000円=△500円(負ののれん)

(仕訳-A社の合併受入仕訳)
借方 金額 貸方 金額
諸資産 6,000 諸負債 2,000
負ののれん発生益 500
資本金 3,500

取得企業であるA社において、被取得企業B社の取得原価は対価として交付する株式の企業結合日における時価となりますので、交付する株式100株に企業結合日の時価@35円を乗じた3,500円となります。
また受け入れる諸資産・諸負債は企業結合日におけるそれぞれの時価をもとに取得原価を配分しますので、それぞれ6,000円と2,000円とになります。
B社の取得原価と諸資産・諸負債の純額との差額はのれんとして計上しますが、本設問では取得原価3,500円に対し資産・負債の純額は4,000円となっているため、取得原価の方が受け入れた資産・負債の純額を下回っているため、負ののれんが計上されます。
負ののれんは発生した事業年度の特別利益として計上するため、当該差額を『負ののれん発生益』勘定を使って当該年度の特別利益として処理しています。

(関連項目)
取得原価の算定 とパーチェス法の基礎(企業結合会計)
合併の対価として自己株式を処分した時の処理(企業結合会計)

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