元入金勘定の仕訳と繰越処理
元入金勘定とは
元入金とは、個人事業主の資本金に当たる金額をいい、個人事業主が事業を開始するにあたり支出した資金などを処理する勘定科目をいいます。
元入金勘定が変動するタイミングとしては以下の2つの場合があります
1.個人事業主が事業を開始するにあたり、資金を拠出した時。 2.繰越処理を行ったとき。 |
上記の1は、事業開始時点において個人事業主の拠出資金の受け皿としての元入金であり、法人でいえば会社設立時における払込金にあたるものです。
上記の2は、事業開始後の損益(青色申告特別控除前の所得金額)や事業主借・事業主貸の増減額の受け皿としての元入金であり、1年間の利益金額や事業主勘定の残高は毎期リフレッシュする必要があるため、期末の損益や事業主勘定の残高を元入金勘定へ振り替え、残高をゼロとします(繰越処理)。
なお、翌期期首の元入金は以下の算式によって求められます。
翌期期首元入金=当期期首元入金残高+青色申告特別控除前の所得金額+事業主借残高-事業主貸残高 |
1.事業開始時における元入金勘定の仕訳
元入金とは、個人事業主の資本金に当たる金額をいい、個人事業主が事業を開始するにあたり支出した資金などを処理する勘定科目をいいます。
個人事業主が事業を開始するに当たり拠出した資金は『元入金』勘定を使って記帳します。
(具体例-個人事業主の事業開始時の拠出金)
個人事業主が、個人資金100,000円を事業用の普通預金口座に振り込み、事業を開始した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 100,000 | 元入金 | 100,000 |
会社(法人)の設立時に出資者より払い込まれた資金は『資本金』勘定を使って記帳することになりますが、個人事業主の場合は事業開始時の拠出資金を『元入金』勘定を使って記帳することになります。
2.翌期首の元入金残高の算定(繰越処理)
各事業年度に計上された損益(青色申告特別控除前)や各事業年度における事業主借・事業主貸勘定の残高は、各事業年度終了ごとにリフレッシュする必要があるため、各期の損益や事業主借・貸勘定の残高を元入金勘定へ振り替え、これを残高をゼロとすることが必要となります(繰越処理)。
(具体例-元入金勘定・繰越処理)
当期期首の元入金残高、青色申告特別控除前の所得金額および事業主借・事業主貸勘定の期末残高は以下の通りである。繰越処理に必要な仕訳を示し、翌期期首の元入金の金額を算定しなさい。
(決算書)
当期期首の元入金残高:120,000円(貸方)
青色申告特別控除前の所得金額(損益勘定):40,000円(貸方)
事業主借勘定残高:20,000円(貸方)
事業主貸勘定残高:30,000円(借方)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
損益 | 40,000 | 元入金 | 40,000 |
事業主借 | 20,000 | 元入金 | 20,000 |
元入金 | 30,000 | 事業主貸 | 30,000 |
上記の仕訳により、事業主借・事業主貸勘定および損益勘定の残高はすべて元入金勘定へ振り替えられるため、各勘定の翌期首残高は0円となります。なお翌期首の元入金の金額は以下のようになります。
当期期首元入金残高120,000円+青色申告特別控除前の所得金額40,000円+事業主借残高20,000円-事業主貸残高30,000円
=翌期期首の元入金金額150,000円 |
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