長期大規模工事と工事進行基準(税務上の工事収益計上基準)
1.長期大規模工事と工事進行基準
法人税法上において、工事の請負に関する収益計上の基準には工事完成基準と工事進行基準とがあります。
上記の2つの収益計上基準のうち、税務上は以下の長期大規模工事の要件をみたすものは工事進行基準を適用し、それ以外のものについては、工事完成基準の適用を原則としますが工事進行基準の適用も認めるスタンスとなっています(法人税法第64条第1項、法人税法施行令第1項・第2項、法人税法基本通達2-1-5等参照)。
長期大規模工事 | 1.その着手の日から当該工事に係る契約において定められている目的物の引渡しの期日までの期間が1年以上であること。
2.その請負の対価の額が10億円以上であること。 3.その請負の対価の額の2分の1以上が当該工事の目的物の引渡しの期日から1年を経過する日後に支払われることが定められていないものであること。 |
上記の長期大規模工事以外の工事であっても工事進行基準を採用することはできますが、その着工事業年度後のいずれかの事業年度のにおいて当該工事進行基準の方法により経理しなかった場合には、その後の事業年度については、工事進行基準を採用することはできません(法人税法第64条第2項参照)。
会計上は工事収益総額・工事原価総額・決算日における工事進捗度を信頼性をもって見積ることができる状況(成果の確実性が認められる場合をいいます。工事契約に関する会計基準第9項参照。詳細は工事進行基準と工事完成基準の概要と適用関係をご参照ください)において工事進行基準の適用が必要となりますが、法人税法上は上記の長期大規模工事の要件を満たす場合に工事進行基準の適用が求められることになります。
2.部分完成基準の適用
工事進行基準を採用が必要な長期大規模工事に該当しない場合であっても、法人が請け負った建設工事等について次に掲げるような事実がある場合には、その建設工事等の全部が完成しないときにおいても、その事業年度において引き渡した建設工事等の量又は完成した部分に対応する工事収入をその事業年度の益金の額に算入する必要があります(部分完成基準の適用。法人税法基本通達2-1-9参照)。
1.一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
2.1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合 |
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