資産除去債務が使用の都度発生する場合の仕訳・会計処理

資産除去債務が有形固定資産の稼動等に従って、使用の都度発生する場合があります。

たとえば、機械や設備などが稼働時間に応じて立地している土地を汚染する場合などにおいては、その機械や設備などを使用の都度に土地を汚染し、将来これを除去するための債務が積み上がっていくことになります。

このような場合には、毎年積み上がっていく資産除去債務に対応する除去費用を各期においてそれぞれ資産計上し、関連する有形固定資産の残存耐用年数にわたり、各期に費用配分することになります(資産除去債務に関する会計基準 第8項参照)。

なお、除去費用をいったん資産に計上し、当該計上時期と同一の期間に、資産計上額と同一の金額を費用処理することもできます(資産除去債務に関する会計基準 第8項なお書き参照)。

(具体例-資産除去債務の算定・ 資産除去債務が使用の都度発生する場合)

当社(決算日は毎年3月末日)はx1年4月1日に機械を取得し代金は現金で支払った(即日使用を開始)。当該機械の取得原価は5,000円、耐用年数は5年であり、当社には当該機械の使用後にこれを除去する法的義務がある。5年後に当該機械除去するときの支出は2,000円と見積られており、そのうち1,000円は機械の取得時点で発生し、のこりの1,000円については、機械がその稼働時間に応じ、立地している土地を汚染するため、毎期5分の1ずつ発生するものとする。
当社は、当該設備について定額法(残存価額0円)により減価償却を行い、また使用の都度発生する資産除去債務の取り扱いについては、資産除去債務に関する会計基準第8項なお書きに定める方法により会計処理ものとする。以下の時点における仕訳を示しなさい(この問では時間価値については考慮しないものとする)。

(1) ×1年4月1日の機械取得時の仕訳
(2) ×2年3月31日の決算時の仕訳

(1)×1年4月1日の機械取得時の仕訳

機械取得時に発生した資産除去債務は1,000円であり、これは機械勘定の計上額に加算します。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
機械 6,000 現金 5,000
資産除去債務 1,000
(2)×2年3月31日の決算時の仕訳

決算時においては機械の減価償却費の計上、および使用に伴って発生する資産除去債務の計上・費用配分に関する処理を行います。
まず機械の減価償却費の計上については、機械取得時に計上した機械の帳簿価額6,000円について耐用年数5年の定額法で算定します

(計算過程-減価償却費の計上)
機械の計上額6,000円/5年=1,200円

次に使用に伴って発生する資産除去債務の計上・費用配分に関する処理を行います。機械の使用に伴って発生する資産除去債務は5年間で1,000円(毎期5分の1ずつ発生)となります。
また、本問では資産除去債務計上時期と同一の期間に、資産計上額と同一の金額を費用処理する方法(資産除去債務に関する会計基準・第8項なお書の方法)を採用しますので、×2年3月31日における資産除去債務の計上額および費用処理額は以下の式で算定します。

(計算過程-資産除去債務の算定)
資産除去債務および除去費用の資産計上額:1,000円/5年=200円
上記資産計上額のうち、当期の費用処理額:200円(全額費用処理)

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
減価償却費 1,200 減価償却累計額 1,200
機械 200 資産除去債務 200
減価償却費 200 減価償却累計額 200

(関連項目)
資産除去債務の算定(計上額の算定)と会計処理

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