資本振替(本支店会計)の仕訳・会計処理

本支店会計の決算時の手続きには、本支店合併精算表を使用して本支店合併財務諸表を作成すると同時に、本店及び各支店の会計帳簿を締め切る手続を行う必要があります。本店及び各支店の会計帳簿の締め切るために行う手続は以下のとおりです。

損益振替 本店及び各支店の収益・費用を損益勘定に振り替え、各店舗のごとの利益を算定します 損益振替
総合損益勘定への振替 本店及び各支店の損益勘定に振替えられた利益を、本店の総合損益勘定へと集計します。 総合損益勘定への振替
内部利益の控除 期末商品在庫などに含まれている内部利益を総合損益勘定から消去(控除)します。 内部利益控除
資本振替 総合損益勘定で集計された全社利益を繰越利益剰余金勘定へと振替ます 当ページ下記参照

本店及び各支店の当期純利益(または当期純損失)は各店舗の帳簿に設けられた『損益』勘定から本店の帳簿に設けられた『総合損益』勘定へと振り替えられます。
また、期首商品・期末商品の在庫に含まれている内部利益の調整を行うことにより、『総合損益』勘定において全社利益が算定されることになります。
このように集計・算定された、『総合損益』勘定の残高(全社の当期純利益または当期純損失)は、次の段階として『繰越利益剰余金』勘定へと振り替え、当期の損益を『繰越利益剰余金』勘定(純資産)へと集計します。これを資本振替といいます。

なお、資本振替の前に『総合損益』勘定へ法人税額の振り替えを行うこともあります。この場合は全社の法人税額を算定し、これを『法人税等』勘定から『総合損益』勘定へと振替えたのちに資本振替をおこないます(簿記検定などでは税額計算が必要か問題分の指示をよく読んでください)。

(具体例-資本振替と法人税額の算定)

損益振替・内部利益調整後の総合損益勘定は以下の通りである。法人税(税率40%、中間納付0円として算定する)について必要な処理を行い、総合損益勘定から繰越利益剰余金勘定への振替のための仕訳を示しなさい。

(総合損益勘定)
借方 金額 貸方 金額
繰延内部利益控除 2,000 損益 80,000
支店 20,000
繰延内部利益戻入 3,000
1.法人税の計上

(計算過程)
税引前利益:80,000円+20,000円+3,000円-2,000円=101,000円
法人税額:101,000円×40%=40,400円

(仕訳-法人税額の処理)
勘定科目 金額 勘定科目 金額
法人税等 40,400 未払法人税等 40,400
総合損益 40,400 法人税等 40,400

法人税額を算定し、これを法人税等勘定から総合損益勘定へと振替ます。

2.資本振替

上記の法人税額の総合損益勘定への振替の結果、総合損益勘定の残高は50,600円(貸方残)となります。この総合損益勘定の残高は繰越利益剰余金勘定へと振替ます。

(仕訳-資本振替)
勘定科目 金額 勘定科目 金額
総合損益 50,600 繰越利益剰余金 50,600

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