本支店合併財務諸表(本支店合併精算表)の作成手順
本支店合併財務諸表の作成は、本店・支店などの各個別店舗の決算整理後残高試算表を合算した本支店合併精算表をもとに行います。本支店合併財務諸表を作成するための本支店合併精算表上の必要な手続きは以下の通りです。
内部取引の相殺 | 本店の『支店仕入』勘定と支店の『本店仕入』勘定など、内部取引を表す勘定を相殺消去します。 | 内部取引の相殺 |
債権債務の相殺 | 本店の『支店』勘定と支店の『本店』勘定など、本支店間の債権・債務を表す勘定を相殺消去します。 | 債権債務の相殺 |
内部利益の控除 | 期末商品在庫などに含まれている内部利益を消去(控除)します。 | 内部利益の控除 |
なお、本支店間で未達取引がある場合は各店舗別の決算整理後残高試算表の作成前の段階で未達取引の整理を行う必要があります。
(具体例-本支店合併財務諸表の作成)
以下の本店および支店の決算整理後残高試算表をもとに、必要な処理を行い、外部公表用の本支店合併財務諸表(合併損益計算書と合併貸借対照表)を作成しなさい。
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
現金 | 20,000 | 繰延内部利益 | 3,000 |
繰越商品 | 40,000 | 資本金 | 7,000 |
支店 | 30,000 | - | - |
仕入 | 220,000 | 売上 | 200,000 |
- | - | 支店売上 | 100,000 |
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
現金 | 20,000 | 本店 | 30,000 |
繰越商品 | 30,000 | - | - |
仕入 | 40,000 | 売上 | 160,000 |
本店仕入 | 100,000 | - | - |
本年度において、本店は仕入原価に10%の利益を付加して支店に商品を送付している。支店の期末商品に含まれる本店仕入分は22,000円分である。
手続1-内部取引の相殺
まず本店の『支店売上』勘定と支店の『本店売上』勘定とを相殺します。これらは企業外部から見た場合、社内での商品の移動であり本来の意味での売上や仕入を意味するものではありませんので外部公表用の財務諸表を作成するうえでは相殺消去する必要があります(詳細は内部取引の相殺をご参照ください)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支店売上 | 100,000 | 本店仕入 | 100,000 |
手続2-債権債務の相殺
次に本店の『支店』勘定と支店の『本店』勘定とを相殺します。上記の内部取引と同様、本支店間の内部取引によって発生した債権債務は、企業外部に対する債権債務と異なり法的な債権・債務を意味するものではありませんので外部公表用の財務諸表を作成するうえでは相殺消去する必要があります(詳細は債権債務の相殺をご参照ください)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
本店 | 30,000 | 支店 | 30,000 |
手続3-内部利益の控除
さらに内部利益の消去(控除)を行います。支店の期末在庫商品には本店が送付した商品が含まれています。本店が仕入原価に本店の取り分となる利益を付加して(振替価格で)商品を送付しても、これが外部に販売されなければ企業自体としての利益にはなりません。単に本支店間で商品を送付しただけでは企業全体の利益にはならないためです。したがって支店の期末商品に含まれている本店が付加した利益は外部公表用の財務諸表を作成するうえでは控除する必要があります。なお期首商品に含まれている内部利益(繰延内部利益)についても期首商品棚卸高から控除します(詳細は内部利益の控除をご参照ください)。
(計算過程)
期首商品に含まれる内部利益:3,000円(前期から繰り越されてきた繰延内部利益残高)
期末商品に含まれる内部利益:22,000円×0.1/1.1=2,000円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
繰延内部利益 | 3,000 | 繰延内部利益戻入 | 3,000 |
繰延内部利益控除 | 2,000 | 繰延内部利益 | 2,000 |
繰延内部利益戻入は期首商品を減少(売上原価を減少)させ、繰延内部利益控除は期末商品を減少(売上原価を増加)させます。
手続4-合算
最後に本店・支店それぞれの決算整理後残高試算表残高を合算し、上記の調整を加味し、本支店合併財務諸表(損益計算書・貸借対照表)を作成します。
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
売上原価 | 259,000 | 売上 | 360,000 |
当期純利益 | 101,000 | - | - |
※売上原価=本店の仕入220,000円+支店の仕入40,000円-繰延内部利益戻入3,000円+繰延内部利益控除2,000円=259,000円
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
現金 | 40,000 | 資本金 | 7,000 |
商品 | 68,000 | 当期純利益 | 101,000 |
※商品=本店の繰越商品40,000円+支店の繰越商品30,000円-繰延内部利益2,000円=68,000円
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