予定取引に為替予約を付した時の仕訳(振当処理)

予定取引(将来行われる取引)に為替予約を付し、振当処理を適用した時の会計処理は取引発生時に為替予約を付した場合と同様に処理することになります。

ただし為替予約決済日が決算日より先の日付である場合、ヘッジ手段である為替予約を時価評価し、評価差額を純資産の部に計上することにより翌期に繰り延べる(繰延ヘッジ)処理が必要となります。

(具体例-予定取引における振当処理)

1.当社は×1年1月31日において、4月末に予定されている仕入取引に係る代金債務100ドルについて、為替相場変動リスクを回避するため、先物為替相場1ドル110円で為替予約を行った。為替予約(振当処理)に関する仕訳を示しなさい(×1年1月31日の直物為替相場は1ドル100円)。

(仕訳・予約時)
借方 金額 貸方 金額
仕訳なし

予約時においては振当対象となる外貨建金銭債権債務は発生しておらず、またデリバティブ取引により生じる正味債権・債務が等価となるため、為替予約に関する仕訳は行いません。

2.×1年3月31日決算日を迎えた。上記の為替予約に関する仕訳を示しなさい。なお。決算日における直物為替相場は1ドル107円、先物為替相場は1ドル115円であった(税効果会計は考慮しないものとする)。

(計算過程)
為替予約:(@115円-@110円)×100ドル=500円

(仕訳・決算時)
借方 金額 貸方 金額
為替予約 500 繰延ヘッジ損益 500

ヘッジ会計の特例法としての振当処理を適用していますので、振当対象である外貨建金銭債権債務が発生していない場合はヘッジ会計(繰延ヘッジ)により、ヘッジ手段たる為替予約を時価評価し、評価差額を純資産の部において繰り延べることになります。

3.×1年4月1日期首再振替を行った。

(仕訳・翌期首時)
借方 金額 貸方 金額
繰延ヘッジ損益 500 為替予約 500

4.×1年4月30日、予定取引(仕入100ドル)が行われた。なお当日の直物為替相場は1ドル111円、先物為替相場は1ドル116円であった。

(計算過程)
外貨建取引(仕入):@110円×100ドル=11,000円
外貨建債権(買掛金):@110円×100ドル=11,000円

(仕訳・取引時)
借方 金額 貸方 金額
仕入 11,000 買掛金 11,000

為替予約等が外貨建取引(営業取引)の前に締結されている場合には、外貨建取引(仕入)及び外貨建金銭債権債務(買掛金)に為替予約相場による円換算額を付すことができます(外貨建取引等会計処理基準注解・注7、外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第8項・53項参照)。

5.×1年5月31日、外貨建買掛金を当座預金で決済した。なお当日の直物為替相場は1ドル114円であった。

(仕訳・決済時)
借方 金額 貸方 金額
買掛金 11,000 当座預金 11,000

為替予約が事前に付されているため、予約レートによる決済額を支払います。

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