繰延税金資産・繰延税金負債の表示(相殺表示)

税効果会計を適用した場合の貸借対照表における表示について、繰延税金資産及び繰延税金負債は、これらに関連した資産・負債の分類に基づいて、繰延税金資産については流動資産又は投資その他の資産として、繰延税金負債については流動負債又は固定負債として表示しなければなりません。

例えば、棚卸資産(流動資産)の評価損について計上された繰延税金資産は流動資産として計上され、投資有価証券(固定資産)の評価損について計上された繰延税金資産は固定資産として計上されます。

ただし、特定の資産・負債に関連しない繰越欠損金等に係る繰延税金資産については、翌期に解消される見込みの一時差異等に係るものは流動資産として、それ以外の一時差異等に係るものは投資その他の資産として表示しなければなりません(ワンイヤールールの適用)。

なお、流動資産に属する繰延税金資産と流動負債に属する繰延税金負債がある場合及び投資その他の資産に属する繰延税金資産と固定負債に属する繰延税金負債がある場合には、それぞれ相殺して表示するものとします。ただし連結財務諸表作成上において、異なる納税主体の繰延税金資産と繰延税金負債は、原則として相殺することはできません。

また損益計算書上の表示について、当期の法人税等として納付すべき額及び法人税等調整額は、法人税等を控除する前の当期純利益から控除する形式により、それぞれ区分して表示しなければなりません。
(税効果会計に係る会計基準 第三、個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針第45項参照参照)。

(具体例)
繰延税金資産・繰延税金負債の金額が以下の場合、貸借対照表の各区分に計上される繰延税金資産または繰延税金負債の金額を求めなさい(個別財務諸表を前提とします)。

流動資産に属する繰延税金資産:10,000円
流動負債に属する繰延税金負債:3,000円
投資その他の資産(固定資産)に属する繰延税金資産:5,000円
固定負債に属する繰延税金負債:6,000円

1.流動資産・流動負債に属する繰延税金資産・繰延税金負債の相殺
繰延税金資産10,000円-繰延税金負債3,000円=7,000円(繰延税金資産

2.固定資産・固定負債に属する繰延税金資産・繰延税金負債の相殺
繰延税金資産5,000円-繰延税金負債6,000円=△1,000円(繰延税金負債

したがって、繰延税金資産(流動資産の区分)7,000円、繰延税金負債(固定負債の区分)1,000円となります。

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