罰金や交通反則金などの仕訳・会計処理

会社や個人事業主が罰金や反則金(交通違反に関する交通反則金など)、科料、過料などを支払った時の会計処理は以下の通りです(法人税法第55条第4項、法人税法基本通達9-5-8、所得税法第45条第1項第6号参照)。

(罰金・過料・反則金などの会計処理)
分類 内容
・法人に課されたもの
・法人の役員・従業員に課されたもので業務遂行に関連して課されたもの
これらの罰金等を法人が負担した時は『租税公課』勘定を使って記帳します。ただし、損金(税金計算上の経費)とはなりませんので、別表4において加算調整が必要です。
法人の役員・従業員に課されたもので業務遂行に関連しないもの 法人の業務遂行に関連しない行為による罰金・反則金等を法人が負担した時は、これらの者に対する給与として取り扱います。
なお、損金経理していない場合は『立替金』として処理し、後日徴収することになります。
個人事業主 個人事業主が負担すべき罰金や交通反則金などを事業用の資金や口座から出費した時は『事業主貸』勘定を使って記帳します。
所得税法上は罰金・反則金や過料などは経費として認められません。

上記のように罰金や交通反則金などの社会的ペナルティに関しまして原則として税務上の経費性(損金算入)は認められませんので経費処理を行った時は、法人の場合は別表4において加算調整が必要となります。

(具体例1-法人の業務に関連する行為の罰金・反則金)

運送業を営む当社社員が、配送業務中に駐車違反による交通反則金を科せられ、これを会社が負担することとし、現金10,000円を支払った。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
租税公課 10,000 現金 10,000

上記のとおり、たとえ業務に関連する行為により課せられた罰金や交通反則金であっても損金(法人税計算上の経費)とすることはできませんので、上記の交通反則金に係る租税公課は法人税申告書・別表4において加算調整が必要となります。

(具体例2-法人の業務に関連しない行為の罰金・反則金)

当社の社長が私用で自家用車を運転中に課せられた交通反則金10,000円を会社が現金で支払った。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
役員報酬 10,000 現金 10,000

役員や社員の会社業務に関連しない行為で課せられた罰金や反則金を会社が負担した時は、その者に対する給与または賞与として取り扱います。したがって、源泉所得税の徴収義務が別途生じます。また本設例のように役員を対象としたときは臨時の役員報酬となるため、法人税計算上の損金とはなりません。
なお後日、役員や社員から徴収する場合は『立替金』勘定を使って記帳します。

(具体例3-個人事業主)

個人事業主が駐車違反で課せられた交通反則金10,000円を事業用の現金で支払った。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
事業主貸 10,000 現金 10,000

所得税算定上、罰金や反則金は経費処理できません。したがって、支出額は『事業主貸』勘定を使って記帳し、事業の損益計算に反映させないようにします。なお、個人事業主のプライベートな資金から支出した時は仕訳の必要はありません。

(関連項目)
延滞税や延滞金を支払った時の仕訳・勘定科目

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