自己株式を消却した時の仕訳・会計処理

自社が発行した株式を取得した時の当該株式を自己株式といいます。自己株式は資本の払い戻しとしての性格を有することから、他社が発行した株式(有価証券)とは異なる扱いが必要となります。
自己株式に関する会計処理のポイントは以下の通りです(企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準第4項以下参照)。

(自己株式の会計処理)
内容 参照ページ
取得時 取得した自己株式は、取得原価をもって評価し、純資産の部の株主資本から控除します。 自己株式を取得した時の会計処理
決算時 期末に保有する自己株式は、純資産の部の株主資本の末尾に自己株式として一括して控除する形式で表示します。 自己株式の決算時の会計処理
処分時 自己株式の処分対価と帳簿価額との差額を『自己株式処分差益』または『自己株式処分差損』勘定として処理します。 自己株式を処分した時の会計処理
消去時 自己株式を消却した場合には、消却手続が完了したときに、消却の対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額します このページの下部参照

会社は保有する自己株式を取締役会などの決議により消却(消去)することができます(会社法第178条参照)。
自己株式を消却した場合には、消却手続が完了したときに、消却の対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額することになります(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準第11項)。

(具体例-自己株式の消却)

当社が保有する自己株式1,000株(簿価50,000円)について、取締役会の決議に基づき100株(簿価5,000円)を消却することとした。自己株式消却の原資はその他資本剰余金のうち、自己株式処分差益を取り崩すこととする。自己株式の消去手続が完了した時の仕訳を示しなさい。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
自己株式処分差益 5,000 自己株式 5,000

自己株式を消去した結果、その他資本剰余金の残高が負の値となった場合には、会計期間末において、その他資本剰余金を零とし、当該負の値をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額することになります(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準第12項参照。なおその他資本剰余金の残高が負の値となった時の期末処理の詳細は自己株式を処分した時の会計処理をご参照ください)。

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