継続性の原則(正当な理由)とは

企業会計原則五では、継続性の原則のついて以下の様に規定しています。

企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。

現在の企業会計においては、それぞれの企業を取り巻く多様な状況に対応するため、必ずしも画一的な会計処理を強制するのではなく、一つの会計事象や取引について複数の会計処理の原則又は手続が認められている場合があります。
このような場合において、企業が自由に会計処理の原則や手続きを選択できるとした場合、同一の会計事実について異なる利益額が算出されることになり、財務諸表の期間比較を困難とし、またこれを利用した利益操作の可能性が生じることになり、企業の財務内容に関する利害関係者の判断を誤らしめる恐れが生じることになります。
従って、いったん採用した会計処理の原則又は手続は、正当な理由により変更を行う場合を除き、継続して適用することが求められることになります。なお、正当な理由によって、会計処理の原則又は手続に重要な変更を加えたときは、これを当該財務諸表に注記することが求められます(企業会計原則注解 注3参照)。

正当な理由とは(過年度遡及会計基準)

会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準(過年度遡及会計基準)では、会計方針(会計処理の原則及び手続)は、正当な理由により変更を行う場合を除き、毎期継続して適用するものとし、正当な理由により変更を行う場合は、次のいずれかに分類されるものとしています(会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準 第5項参照)。

(1)会計基準等の改正に伴う会計方針の変更
(2)上記1以外の正当な理由による会計方針の変更の場合

なお上記(2)の会計基準等の改正に伴う会計方針の変更以外の正当な理由による会計方針の変更とは、その判断の指針として以下の2つの要件が満たされている時をいいます(会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準6項参照)。

・会計方針の変更が企業の事業内容又は企業内外の経営環境の変化に対応して行われるものであること
・会計方針の変更が会計事象等を財務諸表に、より適切に反映するために行われるものであること

過年度遡及会計基準第6項の上記2点に加え、監査人の立場としての監査委員会報告第78号第8項では

・変更後の会計方針が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に照らして妥当であること
・会計方針の変更が利益操作等を目的としていないこと
・会計方針を当該事業年度に変更することが妥当であること

などの項目があげられています。
会計方針の変更を行った場合は、特定の経過的な取扱い(新たな会計基準の適用開始時に遡及適用を行わないことを定めた取扱いなど)が定められていない限り、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する事になります。
会計方針の変更を行った時で、当期又は過去の期間に影響があるとき、又は将来の期間に影響を及ぼす可能性があるときは、会計基準等の名称や会計方針の変更の内容など所定の事項を財務諸表に注記することが必要となります(会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準第10項・第11項参照、なお財務諸表等規則第八条の三、第八条の三の二なども合わせて参照ください)。

(関連項目)
重要性の原則とは
保守主義の原則とは

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