法人税法上の売買目的有価証券(商品有価証券勘定)の会計処理

法人税法においては、有価証券を大きく売買目的有価証券と売買目的外有価証券とに分けて、その評価を以下のように定めています(法人税法第61条の3 参照)。

(法人税法上の有価証券の評価)
売買目的有価証券 短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券 時価法
売買目的外有価証券 上記以外の有価証券 原価法
(償却原価法)

上記の通り、税務上の売買目的有価証券は「短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券」(以下、短期売買目的)とされていますが、具体的には以下のような条件を満たす有価証券をいいます(法人税法施行令第119条の12 参照)

(税務上の売買目的有価証券)
1 短期売買目的で行う取引に専ら従事する者が短期売買目的でその取得の取引を行つたもの(専担者売買有価証券)
2 その取得の日において短期売買目的で取得したものである旨を帳簿書類に記載したもの
3 金銭の信託のうち、その契約を締結したことに伴いその信託財産となる金銭を支出した日において、その信託財産として短期売買目的の有価証券を取得する旨を帳簿書類に記載したもののその信託財産に属する有価証券

上記1は、いわゆるトレーディング目的で取得した有価証券をであり、商品有価証券勘定など特定の取引勘定を設けて当該有価証券の売買を行い、かつ、トレーディング業務を日常的に遂行し得る人材から構成された独立の専門部署(関係会社を含む。)により運用がされている場合の当該有価証券がこれに該当します(法人税法基本通達2-3-26参照)。
また上記2.3の「短期売買目的で取得したものである旨を帳簿書類に記載」とは、有価証券の取得に関する帳簿書類において、短期売買目的で取得した有価証券の勘定科目を(たとえば「商品有価証券」勘定などとし)その目的以外の目的で取得した有価証券の勘定科目と区分することにより行うものをいいます(法人税法施行規則 第27条の5参照)。
なおこれは、当該有価証券の取得の日に当該有価証券を上記のように区分している場合に限られることに留意する必要があります。また、短期的に売買し、大量に売買を行っていると認められる場合の有価証券であっても、他の有価証券と区分していないものは、短期売買有価証券に該当しないことになります(法人税法基本通達2-3-27参照)。

(具体例-法人税法上の売買目的有価証券)

1.余剰資金運用の一環として、上場株式100,000円を現金で購入した。なお従来より当社では余剰資金運用として短期的に有価証券を売買しています。当社ではこれら有価証券については、取得時において短期売買目的であることを示す「商品有価証券勘定」を使用して記帳し、他の有価証券などと区分して記帳しています。

(仕訳・購入時)
借方 金額 貸方 金額
商品有価証券 100,000 現金 100,000

2.本日、決算日を迎えた。上記有価証券の時価が120,000であった。

(仕訳・決算時)
借方 金額 貸方 金額
商品有価証券 20,000 有価証券評価損益 20,000

上記有価証券については、取得時において他の有価証券と区分し、短期売買目的でありことを示す勘定(上記では「商品有価証券勘定」)を使用していますので、法人税法上の売買目的有価証券に該当します。したがって、上記評価益については当期の益金として取り扱われることになります(法人税法第61条の3 第2項参照)。
なお、売買目的有価証券の評価損益は翌期に洗替処理を行います(法人税法第61条の3第4項、法人税法施行令第119条の15第1項参照)。

(関連項目)
有価証券の分類・評価
売買目的有価証券の評価(会計上の扱い)

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