研究開発費の仕訳・会計処理

企業の行う研究開発活動において支出された費用は『研究開発費』勘定を使って記帳します。
なお、ここでいう研究開発費の研究とは「新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究」をいい、開発とは「新しい製品・サービス・生産方法(以下、製品等)についての計画若しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化すること」をいいます。
研究開発として、具体的には以下のようなものがあげられます(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第2項参照)。

(研究・開発の典型例)
1.従来にはない製品、サービスに関する発想を導き出すための調査・探究
2.新しい知識の調査・探究の結果を受け、製品化又は業務化等を行うための活動
3.従来の製品に比較して著しい違いを作り出す製造方法の具体化
4.従来と異なる原材料の使用方法又は部品の製造方法の具体化
5.既存の製品、部品に係る従来と異なる使用方法の具体化

研究開発費には、研究開発に要した人件費や原材料費、固定資産の減価償却費及び間接費の配賦額などすべての原価が含まれ、特定の研究開発目的のみに使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権等の取得原価も取得時の研究開発費となります。
研究開発費は、すべて発生時に費用(販売費及び一般管理費又は当期製造費用)として処理することになります(研究開発費等に係る会計基準 第2項第3項 同注解 注1注2参照)。

(具体例-研究開発費)

当社は、従来にはない新しい製品の開発に向け、その調査・設計費として100,000円を現金で支払った。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
研究開発費 100,000 現金 100,000

研究開発費と開発費(繰延資産)との違い

上記の通り、研究開発費はすべて発生時に費用処理(一般管理費又は当期製造原価)されることが求められます。いっぽう、繰延資産として資産計上できるものの一つに開発費があります(財務諸表等規則第36条参照)。ここでいう開発費については、新技術の採用、新経営組織の採用、資源の開発及び市場の開拓までをも広く包含するものであり、上記のような研究開発費よりも広範な内容を含むものとして想定されています。すなわち、ここでいう開発費は研究開発費の範疇に含まれない費用を含むものとして想定されたものであり、それらの費用を繰延資産として計上する事を想定したものといえます(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第27項参照)。

(関連項目)
ソフトウェアの会計処理(制作目的別概要)

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