実現主義とは

現在の制度会計においては、収益は実現主義によって計上することが要請されています(企業会計原則第二・一A、第二・三B参照)。ここでいう実現とは、以下の2つの条件を満たすことをいいます。

1.財貨又は役務の移転
2.対価としての現金又は現金等価物の取得

上記1の財貨又は役務の移転とは、一般的に商品の販売・引き渡し時点をさし、財貨に対するリスクが買手に移転することを意味します。
また、上記2の現金又は現金等価物の取得とは、現金又は現金等価物の取得により収益の測定・獲得などの確実性を意味しています(現金等価物とは、現金と等価、すなわち同価値を有するものをいい、ここでは売掛金や受取手形などをいいます)。

実現主義の特徴

実現主義は上記の通り、現行制度会計における収益認識に関する原則的な考え方ですが。特に収益認識における確実性を重視したものといえますが、その特徴としてメリット・デメリットをまとめるとおおむね以下の通りになります。

(実現主義の利点・メリット)
実現主義は上記2要件を満たしたときに、初めて収益を計上するものですが、このような収益はのちに修正が必要な不確実な収益の計上を排除し、確実な収益のみ計上することを可能とする。
実現主義で認識される収益は、現金又は現金等価物の取得という資金的裏付けを有するものであり、利益の処分可能性を実質的に担保するものである。
(実現主義の問題点・デメリット)
実現主義は商品の販売時点などに一時的に収益を認識するものですが、収益は実際には商品の調達や保管・販売さらにマーケティングなども含めた企業活動の全過程を通じて徐々に形成されるものであり、販売時点のみに一時的に収益を認識する実現主義では、このような収益生成過程を考慮することはできない。

上記の通り、実現主義では収益生成過程を考慮せず、情報開示の適時性に関して問題点を有するのは事実ですが、現行制度会計においては、関係者の利害調整などの観点から企業の収益の認識に関しては費用認識(発生主義)以上の慎重性が要請されるています(企業会計原則第一・六 保守主義の原則)。したがって収益に関しては原則として実現収益のみを計上することを示し、実現主義を採用することを要請しています(企業会計原則第二・一A、第二・三B参照)。

(関連項目)
現金主義と発生主義
特殊商品売買の収益認識について

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