貸倒懸念債権に対する貸倒引当金の算定(キャッシュ・フロー見積法)
貸倒懸念債権に対する貸倒引当金の設定方法には、財務内容評価法とキャッシュ・フロー見積法とがあります。
このうち、キャッシュ・フロー見積法とは、債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュ・フローを合理的に見積ることができる債権について適用される方法であり、債権の元本及び利息について、元本の回収及び利息の受取りが見込まれるときから当期末までの期間にわたり当初の約定利子率で割り引いた金額の総額と債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高とする方法をいいます。
(具体例-貸倒懸念債権・キャッシュ・フロー見積法)
取引先に対する1,000,000円(約定利子率年5%であり、毎年3月31日に受け取る)、残存期間5年(期限終了後一括返済)の貸付金について、x1年3月31日の利払後に取引先から条件緩和の申し出があり、約定利子率を年2%に引き下げることで合意した。 当該債権を貸倒懸念債権としてキャッシュ・フロー見積法により貸倒引当金を設定しなさい。
x2年3月31日 | x3年3月31日 | x4年3月31日 | x5年3月31日 | x6年3月31日 | |
将来キャッシュフロー | 20,000 | 20,000 | 20,000 | 20,000 | 1,020,000 |
当初利子率での割引額 | 19,048 | 18,141 | 17,277 | 16,454 | 799,179 |
※ 上記の「当初利子率での割引額」は条件緩和後の将来キャッシュ・フローを当初の約定利子率5%で割り引いた現在価値です。例えばx3年3月31日のキャッシュ・フロ-の割引現在価値の計算は、20,000÷(1.05)^2=18,141で求められます。
(計算過程)
1.将来キャッシュフローを当初利子率(5%)で割り引いた金額の総額は(19,048+18,141+17,277+16,454+799,179)=870,117円
2.債権の帳簿価額は1,000,000円
したがって、債権の帳簿価額と割引現在価値との差額としての貸倒引当金計上額は
1,000,000円-870,177円=129,883円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 | 129,883 | 貸倒引当金 | 129,883 |
上記設例の数値は金融商品会計に関する実務指針設例13の数値を使用しています。
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