固定資産と消耗品費

備品や機械などを購入した場合、固定資産として貸借対照表に計上し、減価償却の手続きにより、耐用年数にわたって費用化することが必要となります。
一方、10万円未満の少額な資産は、事業供用時点において一括して費用処理することができます。
このような、物品を購入した場合の会計・税務上の取り扱いについては、税法上規定があり、取得価額や対応年数などをもとに以下のように扱われています。

1.少額減価償却資産(取得価額10万円未満または耐用年数1年未満の資産)

購入した資産について、以下の条件のいずれか一方に該当する場合、消耗品費として購入時において一括して費用とすることができます(法人税法施行令第133条)。

1.使用期間が1年未満のもの
2.取得価額が10万円未満のもの

取得価額が10万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定します(法人税基本通達7-1-11)。消費税の課税事業者の場合、税込経理を採用している場合は税込価格、税抜経理を採用している場合には税抜価格で判断します。また、使用期間が1年未満とは使用状況などから判断することになりますが、実務的には上記2の基準を中心に判断されます。
購入時において、すぐには使用せず、購入した事業年度以降に使用するようなものは費用処理することはできず、貯蔵品として貸借対照表に資産計上する必要があります(重要性の乏しいものは除く)。
これらの資産として一般的には、ノート・消しゴム・伝票類から10万円未満のパソコンなどが該当しますが、これらの物品は日常的に購入するものであり、数量も多数に及ぶため、個別管理による減価償却手続は現実的ではありません。したがって上記の基準を満たす資産については一括費用処理を行うこととなります(消耗品費の仕訳・会計処理に関しましては、消耗品費の仕訳(費用法・資産法)をご参照ください)。

2.一括償却資産(取得価額10万円以上20万円未満の資産)

10万円以上の資産を購入した時、購入時や事業供用時に取得価額全額を費用処理することはできませんが(後述の中小企業者は除く)、20万円未満の資産に関しては、固定資産の個別管理による厳密な減価償却計算を行うことなく、より簡便な償却計算を採用することができます。これは一括償却とよばれ、ある事業年度において、一括償却を選択した資産について、一括して3年間の均等償却を行うことができます(法人税法施行令第133条の2第1項)。
一括償却の特徴としては以下の点があげられます。

1.資産の個別管理は必要なく、取得した事業年度ごとに、まとめて計算します。
2.3年以内に除却・売却した資産があっても除却・売却処理は行いません。
3.月割計算は行いません。あくまでも3年間で均等に償却を行います。
4.固定資産税の申告対象とはなりません。

消費税の課税事業者の場合、税込経理をしている場合は税込価格、税抜経理をしている場合には税抜価格で判断します。
一括償却を行うかどうかは資産ごとに判断します。また会計上において購入時や事業供用時に全額費用処理した場合、税務上申告調整が必要となります(一括償却資産の処理に関しましては、一括償却資産の仕訳・会計処理をご参照ください)。

3.中小企業者等の特例(取得価額30万円未満の資産)

青色申告書を提出する中小企業者(資本金が1億円以下の会社など)に関しては、取得価額が10万円以上であっても、30万円未満の場合は購入時(または事業供用時)の事業年度に一括して費用処理することができます。ただし、この特例が使用できるのは年間300万円までであり、300万円を超える部分に関してはこの特例を使用することはできません。なお取得価額が30万円未満であるかどうかの判定等は、上記1の10万円未満の判定の場合と同様です(取得価額30万円未満の資産の処理に関しましては消耗品費の仕訳(中小企業者等の30万円未満の資産)をご参照ください)。

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