絵画や骨董などの美術品を購入した時の仕訳・会計処理

絵画や骨董などの美術品を購入したときは、購入した美術品の購入金額によって以下のように仕訳します。

(美術品を購入した時の経理処理)
購入価格 処理方法
10万円未満の美術品 美術品の購入価額が10万円未満の場合には『消耗品費』勘定で処理し、全額を購入時などの費用として処理します。
10万円以上20万円未満の美術品を購入した場合 美術品の購入価額が10万円以上20万円未満の場合には『工具器具備品』勘定などの資産勘定を使って資産計上し、減価償却の手続きによって耐用年数にわたって費用化します。ただし、一括償却資産として簡易処理を行うことが可能です。
30万円未満の特例(中小企業者のみ) 資本金が1億円未満などの条件を満たす中小企業者等や個人事業主であり、かつ青色申告者については購入時(事業供用時)において『消耗品費』勘定などを使ってその全額を費用として計上することができます(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例。なお、この特例が認められるのは、対象となる資産の取得価額の合計額が年間300万円までとなります(期中開業などの場合は月割計算となります))。
100万円未満の美術品 100万円未満の美術品を購入した時は『工具器具備品』勘定などの固定資産勘定を使って資産計上し、減価償却の手続きによって耐用年数にわたって費用化します。
100万円以上の美術品 1点当たりの取得価額が100万円以上となる美術品を購入した時は『工具器具備品』勘定などの固定資産勘定を使って資産計上しますが、100万円以上の美術品は原則として非減価償却資産として取り扱われ、減価償却計算を行わないので注意が必要となります。

なお、100万円未満であっても古美術品・古文書・出土品・遺物などのように歴史的価値または希少価値を有し、代替性のないものについては非減価償却資産として取り扱われます。
いっぽう、100万円以上の美術品であっても、時の経過によりその価値が減少することが明らかなものについては減価償却資産として取り扱われ減価償却計算の対象となります(法人税基本通達7-1-1参照)。

美術品の購入価額の判定について消費税の取り扱いは、消費税の経理方式によりことなります。すなわち、消費税の経理方式として税込経理方式を採用している場合は税込金額、税抜経理方式を採用している場合は税抜金額での判定となります(免税事業者は税込金額での判定です)。

(具体例1-絵画や美術品の購入代金が10万円未満の場合)

会社受付に飾るための絵画を購入した。購入価格は50,000円であり、その場で現金で支払った。

(仕訳-10万円未満の場合)
借方 金額 貸方 金額
消耗品費 50,000 現金 50,000

絵画などの美術品の購入価額が10万円未満の場合にはその全額を購入時(事業供用時)の費用として処理することができます。

(具体例2-絵画など美術品の購入代金が10万円以上20万円未満の場合)

会社受付に飾るための絵画を購入した。購入価格は160,000円であり、代金は普通預金口座から振り込んだ。

(仕訳-10万円以上20万円未満の場合)
借方 金額 貸方 金額
一括償却資産 160,000 普通預金 160,000

一括償却を行うかどうかは各資産ごとに選択できます(法人税法施行令133条の2第1項参照)。

(具体例3-絵画などの美術品の購入代金が30万円未満の場合)

応接室に飾るための絵画を購入した。購入価格は240,000円であり、代金は小切手を振り出して支払った。

(仕訳-30万円未満の場合)
借方 金額 貸方 金額
消耗品費 240,000 当座預金 240,000

この特例の対象は『青色申告』を行う法人や個人のみですのでご注意ください。

(具体例4-絵画など美術品の購入代金が30万円以上の場合)

応接室に飾るための骨董を購入した。購入価格は3,000,000円であり、代金は小切手を振り出して支払った。

(仕訳-30万円以上の場合)
借方 金額 貸方 金額
工具器具備品 3,000,000 当座預金 3,000,000

30万円以上の絵画や骨董などの美術品を購入した場合は『工具器具備品』勘定など(固定資産)を使って資産計上し、耐用年数にわたって減価償却を行います。
なお取得価額が100万円以上の美術品を購入した時は、原則として非減価償却資産として取り扱われ、減価償却計算を行わないため注意が必要となります。

スポンサードリンク