期待ギャップとは(会計監査の基礎用語)
期待ギャップとは、社会の人々の公認会計士に対する期待と、実際に公認会計士が担っている役割との間にある乖離(ギャップ)を言います。
公認会計士の行う財務諸表監査は、企業の作成した財務諸表が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて意見を表明することにあります。
しかし財務諸表の利用者である利害関係者や社会の人々は、公認会計士の監査に財務諸表の適正性に対する意見の表示にとどまらず、さまざまな不正の摘発や企業の経営破綻の可能性に関する意見の表示など、本来の公認会計士の財務諸表監査が担っている以上の役割を期待する傾向があり、両者の間に乖離(ギャップ)が存在しています。
公認会計士の役割 | 企業の作成した財務諸表が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて意見を表明すること。 |
社会の人々の公認会計士に対する期待 | 財務諸表監査の適正性のみならず、不正の摘発や経営破綻の可能性の指摘などより、本来の公認会計士の財務諸表監査の役割を超える過剰な期待。 |
たとえ期待ギャップが本来の公認会計士の役割を超える過剰な期待を基にするものであるとしても、これを放置することは社会の人々の公認会計士の行う財務諸表監査に対する信頼を損ない、しいては公認会計士に対する信頼を基に成り立つ監査制度の根幹にかかわる問題となりかねません。監査にかかわるものすべてに期待ギャップを解消するような取り組みがもとめられています。
(関連項目)
二重責任の原則の基礎
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