二重責任の原則の基礎
二重責任の原則とは、財務諸表の作成責任・内部統制の整備運用は経営者にあること、監査人の責任は経営者の作成した財務諸表の適正性について意見を表明することにあることを明確に区分した原則を言います。
監査報告書には表題・宛先・監査意見などのほか、財務諸表に対する経営者及び監査役等の責任や財務諸表監査における監査人の責任などが記載されます(監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」15項以下参照)
経営者の責任 | 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる |
監査人の責任 | 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 |
監査報告書においては上記の通り二重責任の原則が明確に記載されており、財務諸表の作成責任や内部統制の整備運用責任は経営者にあること、監査人の責任は経営者の作成した財務諸表に対し独立の立場から意見を表明するものであることが明らかにされ、監査報告書の利用者にたいして経営者と監査人の責任の範囲を明確に示すものとなっています。
(関連項目)
期待ギャップとは(会計監査の基礎用語)
スポンサードリンク