評価差額の仕訳と処理の流れ(支配獲得日の手続き)

支配獲得日においては親会社は、親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本を相殺消去し(資本連結)、また支配獲得日における連結貸借対照表を作成することになります(連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針2、3参照)。

その際に親会社は子会社の資産及び負債を時価により評価し、この時価評価額と当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額との差額を資産及び負債の帳簿価額の修正額として計上(帳簿価額に加減)するとともに、その純額を評価差額として子会社の純資産に計上することが必要となります(連結財務諸表に関する会計基準第20項、連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針第11項等参照)。

例えば取得した子会社の資産の帳簿価額が1,000円であったとします。この資産の支配獲得日における時価を調べると1,500円であった場合、次のような仕訳をおこない、子会社の資産の帳簿価額を時価の1,500円へと修正すると同時に、時価と簿価との差額を『評価差額』という純資産の勘定科目を使って計上することになります。

(仕訳-評価差額の計上)
借方 金額 貸方 金額
資産 500 評価差額 500

資産を500円追加で計上することにより、元の帳簿価額1,000円と合わせて帳簿価額が1,500円へと修正されることになります。この修正によって生じた評価差額は子会社の純資産とし、資本連結によって親会社の投資(親会社の保有する『子会社株式』)と相殺消去します(連結財務諸表に関する会計基準 第23項等参照)。

数値例-子会社の資産負債の時価評価と資本連結の仕訳の基本形

甲会社が乙会社の発行した株式の100%を150,000円で取得して乙社を子会社とした。支配を獲得した日における両社の個別財務諸表が以下のようであったとき、支配獲得日において必要な連結上の仕訳を示すとともに、連結貸借対照表を作成しなさい。

甲社の個別貸借対照表
諸資産 500,000 諸負債 400,000
乙会社株式 150,000 資本金 250,000
乙社の個別貸借対照表
諸資産 100,000 資本金 100,000

なお、支配獲得日における乙社の諸資産の時価は120,000円であるものとする。

1.子会社の資産・負債の評価替え
子会社となる乙社の諸資産について、簿価が100,000円となっていますが支配獲得日における時価は120,000となっており、時価と簿価とが異なっているため評価替えのための仕訳を行います。評価替えのための仕訳については時価120,000と簿価100,000円との差額20,000円を諸資産に追加で計上することにより、乙社の諸資産の帳簿価額を100,000円から120,000円へと修正します。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
諸資産 20,000 評価差額 20,000

この評価替えの仕訳により、子会社である乙社の貸借対照表は以下のようになります(評価差額が子会社の純資産として処理します)。

乙社の個別貸借対照表(評価替え後)
諸資産 120,000 資本金 100,000
評価差額 20,000

2.親会社と子会社の個別財務諸表の合算
次に評価替え後の個別貸借対照表をもとにして支配獲得日における連結貸借対照表を作成します。連結貸借対照表を作成するに際し、まず親会社と子会社の個別財務諸表(評価替え後の個別貸借対照表)を単純合算します。

親会社と子会社の個別財務諸表の合算は、単純に資産と負債とを合算すればよいですので、合算後の貸借対照表は以下のようになります。

甲社・乙社の単純合算後の貸借対照表
諸資産 620,000 諸負債 400,000
乙社株式 150,000 資本金(甲社) 250,000
資本金(乙社) 100,000
評価差額 20,000

上記の資産・負債は甲社と乙社の資産と負債を以下のように合算して算定しています。

諸資産:甲社の諸資産500,000円+乙社の諸資産110,000円(評価替え後)=620,000円
諸負債:甲社の諸負債400,000円+乙社の諸負債0円=400,000円

なお、この後の手続きを行う上で必要な数値を抜き出しやすくするため、甲社が保有する乙社の株式(150,000円)と子会社の純資産(乙社の資本金100,000円と評価差額20,000円)は他の資産や負債・純資産とは合算せずにそれぞれ別々に表示してあります。

2.投資と資本との相殺消去
親会社の子会社に対する投資と子会社の純資産とは、これを一つの企業集団としてみた場合、企業集団内部の資金移動にすぎません。したがって、連結財務諸表を作成するにあたり親会社の子会社に対する投資(甲社の所有している乙社株式150,000円)と子会社の純資産(乙社の資本金100,000円および評価差額20,000円)とを相殺することになります。

(仕訳-親会社の保有する子会社株主と子会社の純資産との相殺)
借方 金額 貸方 金額
資本金(乙社) 100,000 乙社株式 150,000
評価差額(乙社) 20,000
のれん 30,000

親会社の保有する子会社株式と子会社の純資産のうちの親会社の持分額とのに差額がある場合、これは投資消去差額といい、『のれん』または『負ののれん発生益』として処理します。
上記の仕訳では差額は借方に30,000円が計上されますので、これは『のれん』という資産として処理されることになります。

3.連結貸借対照表の作成
最後に支配獲得日の連結貸借対照表を作成します。作成方法は上記1で作成した貸借対照表(甲社と乙社の貸借対照表とを単純合算した表)に上記2の連結修正仕訳を加味すればよいことになります。

支配獲得日の連結貸借対照表
諸資産 620,000 諸負債 400,000
のれん 30,000 資本金 250,000

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