どのような資産が棚卸資産に含まれるか(棚卸資産の範囲)

棚卸資産とは、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、売却を予定する資産をいいます。また、売却を予定していない資産であっても、企業の販売活動や一般管理活動において短期間に消費される資産も棚卸資産に含まれます(棚卸資産の評価に関する会計基準 第3項参照)。

連続意見書第四「棚卸資産の評価について」においては、棚卸資産に含まれる資産の範囲として、以下のものを挙げています(連続意見書第四 第一章七、棚卸資産の評価に関する会計基準 第28項以下参照)。

(連続意見書四における棚卸資産の範囲)
通常の営業過程において販売するために保有する財貨又は用役 通常の営業過程において販売するために保有する財貨又は用役には、いわゆる小売業や卸売業などが販売目的で保有する商品、製造業が販売目的で保有する製品などが含まれます。

また土地や建物などの不動産も、不動産売買業者などが販売の目的で保有する場合などは、通常の販売過程において販売するための財貨として棚卸資産に含まれます。

販売を目的として現に製造中の財貨又は用役 販売を目的として現に製造中の財貨又は用役には、製造業や建築業、工場などで現に製造中の資産(仕掛品・未成工事支出金など)が含まれます。

なお、棚卸資産は必ずしも有形の財貨(形のあるモノ)には限られませんので、たとえば加工のみを委託された場合などにおける加工費のみからなる仕掛品も棚卸資産に含まれます。

販売目的の財貨又は用役を生産するために短期間に消費されるべき財貨 販売目的の財貨又は用役を生産するために短期間に消費されるべき財貨には、たとえば製造業や建設業などにおいて製品を製造するために保有する材料費や原料費・労務費などが含まれます。

また工場内の消耗品などは、それが供用されるとともに間接費として製品に化体するモノであるといえるため、材料や原材料などと同様に棚卸資産にふくまれます。製品の実体の一部を構成する包装用品なども同様です。

販売活動および一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨 販売活動および一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨には、たとえば事務用消耗品、荷造用品など、それ自体が直接販売の対象となるものではありませんが(販売の対象たる製品に化体しないもの)、短期的費用財の性格をもつものなどが含まれます。

上記の連続意見書第四における棚卸資産の範囲には、事務用消耗品や荷造用品など販売活動及び一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨も含まれるとしている点で、国際的な会計基準と必ずしも同じではないといわれていますが、これらの財貨はたとえそれが製造用以外のものであっても、短期的に消費される点や実務上の便宜が考慮され、棚卸資産の範囲に含められています。
棚卸資産の評価に関する会計基準においてもこの考え方を踏襲し、販売活動及び一般管理活動において短期間に消費される製造用以外の事務用消耗品や荷造用品などについても棚卸資産に含めることとされています(棚卸資産の評価に関する会計基準 第29・30項参照)。

(関連項目)
棚卸資産の取得原価の算定
トレーディング目的で保有する棚卸資産の評価と仕訳

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