トレーディング目的で保有する棚卸資産の評価と仕訳
トレーディング目的(活発な市場が存在することを前提に、市場価格の変動により利益を得ることを目的)に保有する棚卸資産の評価については、市場価格に基づく価額をもって貸借対照表価額とし、市場価格と帳簿価額との差額については、当期の損益(純額で売上高に含めて表示)として処理します(棚卸資産の評価に関する会計基準第3項・15項・16項および第19項参照)。
活発な市場が存在し、かつ当該市場価格の変動により利益を得るトレーディング目的で保有する棚卸資産については、売買目的有価証券と同様、投資者にとっての有用な情報は当該資産の
期末時点の市場価格に求められると考えられることから、トレーディング目的で保有する棚卸資産の評価については、売買目的有価証券の評価に準じて処理し、市場価格に基づく価額をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益として処理することになります。
(なおこのような処理や評価の前提としての「活発な市場の存在」とは、例えば金取引市場のように、活発な取引が行われるよう整備された、購買市場と販売市場とが区別されていない単一の市場の存在がしていることをいいます。棚卸資産の評価に関する会計基準第60項・61項参照)。
(具体例-トレーディング目的で保有する棚卸資産の評価)
トレーディング目的で保有する棚卸資産(金現物であり、決算前の帳簿価額は1,000,000円)の決算時における時価は1,200,000円であった。当該資産の決算時の評価について必要な仕訳を示しなさい。
(計算過程)
評価差額:時価1,200,000円-簿価1,000,000円=200,000円(評価益)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
繰越商品 | 200,000 | 売上 | 200,000 |
トレーディング目的で保有する棚卸資産は、市場価格に基づく価格で評価し、評価差額については当期の損益として処理します。なお評価差額は純額で売上高含めて表示されるため、評価差額の仕訳処理は『売上』勘定を使って処理します。
(関連項目)
売買目的有価証券の評価(切放法と洗替法)
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