固定資産の割賦購入(利息法)の計算と仕訳

2018年10月12日 at 9:08 PM

機械や車両などの固定資産を割賦(分割払い)で購入した場合において、購入後に割賦金を支払った時は、支払った割賦金に相当する金額の『未払金』『営業外支払手形』などを減額することになります。

(固定資産を割賦で購入した時の仕訳)
借方 金額 貸方 金額
固定資産 未払金など
(その後に割賦金を支払った時の仕訳)
借方 金額 貸方 金額
未払金など 現金預金など

割賦金の支払額に分割払いの期間に対応する利息が含まれている場合において、この利息部分を取得原価に含めずに『前払費用』として処理している場合には、割賦金の支払時にその支払額に含まれる利息部分を『前払費用』勘定から『支払利息』勘定へと振替えを行い、当該期間に対応する利息金額を当期の費用として処理します(購入時の仕訳の詳細や具体例は固定資産を割賦購入した時の取得原価と利息の扱いも合わせてご参照ください)。

(固定資産を割賦で購入した時の仕訳)
借方 金額 貸方 金額
固定資産 未払金
前払費用
(その後に割賦金を支払った時の仕訳)
借方 金額 貸方 金額
未払金 現金預金など
支払利息 前払費用

この支払った割賦金に含まれる利息の計算方法には定額法と呼ばれる方法と利息法と呼ばれる方法とがあります。
このうち、このページでは利息法と呼ばれる方法についてご説明いたします(定額法についての詳細は固定資産の割賦購入(定額法)の仕訳をご参照ください)。

固定資産を割賦購入した時の利息の配分方法-利息法

設例
当社は期首のX1年1月1日に営業用の軽自動車(本体の現金販売価格1,000,000円)を割賦契約で購入し、代金の支払いは次のように分割で支払うこととした。

(代金の支払い条件)
1.元利金の支払いは毎年12月31日(支払回数は4回)
2.支払額は毎回275,490円とする(支払金額の合計は1,101,960円)
3.利息の計算は利息法(年利4%)とする

この場合において、次の時点におけるの仕訳を示しなさい

1.×1年1月1日(固定資産購入時)
2.×1年12月31日(1回目の割賦金代金支払い時)

※なお設例の単純化のため、解答では1年超の未払金と前払費用について、固定資産・固定負債から流動資産・流動負債への振り替えは行わないものとします(簿記検定などでは問題の指示に従ってください)。

1.×1年1月1日(固定資産の購入時)の仕訳

固定資産の割賦購入時の仕訳は以下のようになります(購入時の仕訳の詳細は固定資産を割賦購入した時の取得原価と利息の扱いも合わせてご参照ください)。

(仕訳-固定資産の購入時)
借方 金額 貸方 金額
車両運搬具 1,000,000 未払金 1,101,960/td>
前払費用 101,960

固定資産の現金販売価格(元本金額)が1,000,000円、割賦金の支払額の合計が1,101,960円(=275,490円×4回)ですので差額の101,960円部分が分割払いの期間に対応する利息支払額となります。これは固定資産の取得原価には含めず、いったん『前払費用』として計上しています。

2.×1年12月31日(割賦金の支払時)の仕訳

固定資産を割賦購入した場合において、割賦代金を支払った時は未払金を減額するとともに、支払った割賦金に含まれる利息部分を『前払費用』から『支払利息』へと振り替えます。
この設例では利息部分の金額の計算に利息法を使用しますが、利息法とは、毎回支払う割賦金に含まれる利息金額を、固定資産の現金販売価格の未払額(元本の未払額)に利率を乗じて算定する方法をいいます。
よって第1回支払い時の割賦金購入代金に含まれる利息部分と元本返済部分の金額の計算は以下のようになります

利息部分:元本金額1,000,000円×4%×12/12月=40,000円
元本返済部分:割賦代金275,490円-利息金額40,000円=235,490円
支払後の元本残高:元本金額1,000,000-元本返済部分235,490円=764,510

したがって×1年12月31日の第1回目割賦金支払時の仕訳は以下のようになります。

(仕訳-第1回目割賦金の支払時)
借方 金額 貸方 金額
未払金 275,490 現金預金 275,490
支払利息 40,000 前払費用 40,000

なお、第1回から第4回までの割賦代金の支払額に含まれる利息部分と元本返済額部分、および支払時点における元本残高は以下のようになります。

割賦金の返済スケジュール表
支払日 支払額 利息金額 元本返済額 元本残高
1,000,000
×1年12月 275,490 40,000 235,490 764,510
×2年12月 275,490 30,580 244,910 519,600
×3年12月 275,490 40,000 254,706 264,894
×4年12月 275,490 10,596 264,894 0
3.決算時の処理

この設問では割賦金の支払日と決算日とが一致してますが割賦金の支払日と決算日とが異なる場合、当期の最後の割賦金の支払日から決算日までの期間に応じた支払利息を見越し計上する必要があります。
仮に上記の設例で×1年3月31日が決算日であったとした場合、決算日に計上する利息の計算と仕訳は以下の通りとなります。

・当期の利息の配分額:元本の未払額1,000,000円×4%×3/12月=10,000円

(仕訳-決算時の処理)
借方 金額 貸方 金額
支払利息 10,000 前払費用 10,000

固定資産の割賦購入(定額法)の仕訳

2018年9月19日 at 10:49 PM

機械や車両などの固定資産を割賦(分割払い)で購入した場合において、購入後に割賦金を支払った時は、支払った割賦金に相当する金額の『未払金』『営業外支払手形』などを減額することになります。

(固定資産を割賦で購入した時の仕訳)
借方 金額 貸方 金額
固定資産 未払金など
(その後に割賦金を支払った時の仕訳)
借方 金額 貸方 金額
未払金など 現金預金など

割賦金の支払額に分割払いの期間に対応する利息が含まれている場合において、この利息部分を取得原価に含めずに『前払費用』として処理している場合には、割賦金の支払時にその支払額に含まれる利息部分を『前払費用』勘定から『支払利息』勘定へと振替えを行い、当該期間に対応する利息金額を当期の費用として処理します(購入時の仕訳の詳細や具体例は固定資産を割賦購入した時の取得原価と利息の扱いも合わせてご参照ください)。

(固定資産を割賦で購入した時の仕訳)
借方 金額 貸方 金額
固定資産 未払金
前払費用
(その後に割賦金を支払った時の仕訳)
借方 金額 貸方 金額
未払金 現金預金など
支払利息 前払費用

この支払った割賦金に含まれる利息の計算方法には定額法と呼ばれる方法と利息法と呼ばれる方法とがあります。
このうち、このページでは定額法と呼ばれる方法についてご説明いたします。

固定資産を割賦購入した時の利息の配分方法-定額法

1.固定資産の購入時

定額法とは、その名の通り、利息の総額を支払期間に均等に按分し、割賦金の支払時に毎回同額(定額)の利息を計上する方法をいいます。

たとえば、X1年1月1日に営業用の軽自動車(本体価格1,000,000円)を割賦契約で購入し、代金の支払いは次のように分割で支払うものとします。

(代金の支払い条件)
1.初回の支払は2月末
2.その後も2か月ごとに5回に分けて支払う(2月末、4月末、6月末、8月末、10月末に支払)
3.支払額は毎回220,000円とする
4.分割払いの期間に対応する利息部分については取得原価に含めない

この場合の軽自動車の購入時の仕訳は以下のようになります。

(仕訳-固定資産の購入時)
借方 金額 貸方 金額
車両運搬具 1,000,000 未払金 1,100,000
前払費用 100,000

軽自動車の取得原価が1,000,000円、割賦金の支払額の合計が1,100,000円(=220,000円×5回)ですので差額の100,000円部分が分割払いの期間に対応する利息支払額となります。これは固定資産の取得原価には含めませんので、いったん『前払費用』として計上しています。

2.割賦金の支払時(未払金の消去)

その後×1年2月28日に1回目の割賦金220,000円を現金で支払ったとします。この割賦金の支払額はそのまま『未払金』から減額することになります。

(仕訳-割賦金の支払時(未払金の減額))
借方 金額 貸方 金額
未払金 220,000 現金預金 220,000

次に固定資産購入時に計上した前払費用(割賦金の総支払額に含まれる利息支払額)を配分するための仕訳を行いますが、定額法では利息総支払額を割賦金の支払期間の各期に均等に分配することになりますので、毎回の割賦金の支払時に計上する利息計上額は、利息の総額を支払回数で単純に按分して算定することになります。

ここでは割賦金の総支払額に含まれる利息計上額は100,000円、割賦金の支払額は5回ですので、割賦金の支払時にそれぞれ計上する利息の金額は

100,000円÷5回=20,000円(毎回同額)

となり、これを『前払利息』勘定から『支払利息』勘定へと振替え、当期の費用として処理します。この仕訳と上記の仕訳を合わせて割賦金の支払時の仕訳は次のようになります。

(仕訳-割賦金の支払時(支払利息の計上含む))
借方 金額 貸方 金額
未払金 220,000 現金預金 220,000
支払利息 20,000 前払費用 20,000
3.決算時の処理

定額法では利息支払額を割賦金の支払期間に均等に分配することになりますが(支払利息の計上は割賦金の支払日)、割賦金の支払日と決算日とが異なる場合、当期の最後の割賦金の支払日から決算日までの期間に応じた支払利息を見越し計上する必要があります。
仮に上記の設例で×1年3月31日が決算日であったとした場合、決算日に計上する利息の計算と仕訳は以下の通りとなります。

・割賦金の支払時に計上する利息の配分額:20,000円(毎回同額)
・割賦金の支払間隔:2か月
・前回の支払時(2月28日)から決算日(3月31日までの月数):1か月

したがって決算時(3月31日)に見越し計上する利息の金額は
毎回の利息配分額20,000円÷割賦金の支払期間2か月×前回の支払時から決算日までの期間1か月=10,000円

(仕訳-決算時の処理)
借方 金額 貸方 金額
支払利息 10,000 前払費用 10,000

(関連項目)
固定資産の割賦購入(利息法)の計算・仕訳

固定資産を割賦購入した時の取得原価と利息の扱い

2018年1月10日 at 11:12 PM

機械や車両などの固定資産を割賦(分割払い)で購入した場合において、割賦金の支払額に割賦期間に対応する利息が含まれている場合、利息部分についてはこれを固定資産の取得原価に含めないことができます。

固定資産を割賦購入した時の仕訳(利息がない場合)

2018年1月5日 at 7:04 PM

機械や車両などの固定資産を割賦(分割払い)で購入した場合において、割賦期間に対応する利息がない、もしくは購入代価と利息を明確に区分していないような場合には、実際の支払額をもって取得原価を算定することになります。