サービス業において費用を支払った時(役務費用)の仕訳・会計処理

旅行代理店や各種資格学校など、サービス業については、サービスの提供時において『役務収益』勘定などを使って売上収益を計上するとともに、サービスの提供に掛かった費用を『役務費用』として費用計上することになります。

なお、サービス提供のための費用の発生時期と役務収益の発生時期(サービス提供時)とがほぼ同時である場合には、発生した費用をそのまま『役務費用』として費用処理することになりますが、費用の発生時期とサービスの提供時期との間にタイムラグがある場合には、これをいったん『仕掛品』勘定によって資産計上し、役務提供時において収益計上分に対応する支出分を『仕掛品』勘定から『役務費用』勘定へと振り替える処理をおこないます。

(具体例-費用支払時の処理・サービス業会計)

1.能力開発セミナーを開催した。開催時において、参加者30人よりセミナーの受講料として1人当たり現金1万円ずつ(合計30万円)を受け取った。なおセミナーの開催時において、会場費50,000円および講師に対する報酬70,000円を現金で支払った。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
現金 300,000 役務収益 300,000
役務費用 120,000 現金 120,000

上記1においては、能力開発セミナーの開催と会場料・セミナーへの報酬の支払いがほぼ同時期であるため、発生した費用をそのまま『役務費用』として費用処理しています。

2.当社では3か月後(来期)において能力開発セミナーを開催をすることを企画し準備を進めている。本日、能力開発セミナ-を開催するための会場代50,000円と講師への報酬70,000円を事前に現金で支払った。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
仕掛品 120,000 現金 120,000

上記2の例示では能力開発セミナ-の開催時期と費用の支払時期との間にタイムラグがあります。したがって能力開発セミナー開催のための支出額をいったん『仕掛品』勘定を使って資産計上し、実際の開催時においてこれを『仕掛品』勘定から『役務費用』勘定へと振り替えます。

なお来期に実際に能力開発セミナーを開催し、参加者より受講料300,000円を受け取った時の仕訳は以下のようになります。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
現金 300,000 役務収益 300,000
役務費用 120,000 仕掛品 120,000

(関連項目)
サービス業における収益計上(役務収益)の仕訳・会計処理
代金を前受した時の仕訳・記帳(サービス業の会計処理)

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