個人事業主の貸倒引当金の設定(青色申告・一括評価貸金)

青色申告者である個人事業主は、売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権で当該事業の遂行上生じた債権(一括評価貸金)の貸倒れによる損失の見込額として、年末における債権の帳簿価額の合計額の5.5%(金融業は3.3%)までの金額を貸倒引当金として設定し、これを必要経費として計上することができます(所得税法第52乗第2項、所得税法施行令第145条参照)。

貸倒引当金繰入額(必要経費)=債権の帳簿価額×5.5%

上記の債権の帳簿価額には、実質的に債権と認められないもの(当該債務者から受け入れている金額がある場合は相殺による回収が可能であるため、このような場合の債権は実質的に債権と認められないものとして貸倒引当金の設定対象とはなりません)、個別評価の対象となった債権などは除きます。

白色申告の場合、上記のような一括評価による貸倒引当金の設定はできませんが、債務者個々の状況次応じ、個別評価による貸倒引当金の設定は可能です。

設定された貸倒引当金については、翌期に戻り入れ処理を行うことが必要となります。

(具体例-個人事業主の貸倒引当金の設定・一括評価貸金)

青色申告者である個人事業主(小売業)の期末における金銭債権(個別評価の対象となるものなどはない)は以下の通りであった。一括評価貸金に係る貸倒引当金設定時の仕訳を示しなさい。

売掛金:10,000円
貸付金:2,000円

(計算過程)
貸倒引当金設定額:(売掛金残高10,000円+貸付金残高2,000円)×5.5%=660円

(仕訳-繰入時)
借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金繰入 660 貸倒引当金 660

上記によって算定された貸倒引当金繰入額は設定時の必要経費として処理することができます。
なお、設定された貸倒引当金は翌期に戻入処理(収益計上)を行う必要がありますので、翌期において以下の仕訳が必要となります。

(仕訳-戻り入れ時)
借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金 660 貸倒引当金戻入 660

スポンサードリンク