自己宛為替手形の振出・引受時(本支店会計)の仕訳

本店・支店間において取引先に対する債務の支払元を他の支店または本店に変更する時に自己宛為替手形(自己を名宛人とする為替手形)を使用することがあります。たとえば東京の本店Aが大阪の取引先Cから商品を購入し買掛金がある場合、遠方の取引先との決済に関する手間を省略するため、自身の大阪支店Bを名宛人(東京本社と大阪支店は外部から見れば同一人物)とした為替手形を振出し、大阪支店から代金を決済することなどがあります。これにより、遠方の取引先に対する代金決済の手間を省略することができます。

この時、手形を振り出した側は他の本店又は支店に対する債務の発生ととらえ手形の振出額を『本店』勘定または『支店』勘定の貸方に記帳します。
たとえば東京本店Aが大阪の取引先Cに対する買掛金10,000円を決済するために、大阪支店Cを名宛人とする10,000円の為替手形を振り出したときの東京支店Aの仕訳は以下のようになります。

(仕訳-東京本店A)
借方 金額 貸方 金額
買掛金 10,000 支店 10,000

外部の取引先へ支店を名宛人とした為替手形を振り出すことにより、本店自体の買掛金はなくなりますが、かわりに支店に対する債務が発生しますのでこれを『支店』勘定の貸方に記帳します。
いっぽう、手形を引きうけた側は、外部に対する支払手形という債務を負うことになりますが、その反面、他の本店又は支店に対する債権が発生したととらえられますので手形の引受額を『本店』勘定または『支店』勘定の借方に記帳します。
上記の東京本店Aが振出した為替手形10,000円を引き受けた大阪支店Bの仕訳は以下のようになります。

(仕訳-大阪支店B)
借方 金額 貸方 金額
本店 10,000 支払手形 10,000

手形を引き受けたことにより『支払手形』が発生していますが、かわりに本店に対する債権が発生したと捉えられますのでこれを『本店』勘定の貸方に記帳します。

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