直接仕入・直接売上(本支店会計)の会計処理

支店が、普段は本店の取引先から本店を通して購入している商品について、急に必要となったために本店の取引先から直接購入したり(直接仕入)、あるいは支店が本店の得意先に対して直接商品を販売する(直接売上)ことなどがあります。このような場合、本店は実際には取引に関与していませんが、直接取引の記帳については普段と同様に本店を通して取引したものとして処理することが必要となります。

(直接取引の帳簿上の流れ)
実際の商品の流れ

(本店の取引先)→(支店)

帳簿上の商品の流れ

(本店の取引先)→(本店)→(支店)

上記とは逆に本店と支店の取引先との直接取引の場合も同様に取り扱います。この結果、実際のモノの流れと帳簿上の流れが異なる(乖離する)ことになりますが、たまたま普段と異なる購入・販売ルートをとった場合であっても、会計処理の一貫性を確保するため普段と同様の処理を行うことになります。

たとえば、本店が外部の取引先から購入し、これに原価の20%の利益を付加して支店に送付している商品について、支店が本店の取引先から直接100,000円で購入した時の本店と支店の仕訳はそれぞれ以下のようになります。

(仕訳-本店側)
借方 金額 貸方 金額
仕入 100,000 買掛金 100,000
支店 120,000 支店売上 120,000
(仕訳-支店側)
借方 金額 貸方 金額
本店仕入 120,000 本店 120,000

この取引では、支店が本店の取引先から直接商品を100,000円で購入していますでの実際には本店は関与していません。しかし帳簿上は普段の取引の処理との一貫性を重視し、普段と同様に本店を介して取引したものとして記帳しています。また、外部への債務(買掛金)は普段と同様に本店の債務として記帳します。

(具体例-本支店会計・直接取引)

本店が原価の20%の利益を付加して支店に送付し、支店が外部の得意先に対して販売している商品について、得意先の都合により、本店が直接支店の得意先に商品(本店の仕入原価100,000円)を送付し、代金150,000は掛けとした。この時の本店と支店の仕訳を示しなさい。

(計算過程)
振替価格:100,000円+100,000円×20%=120,000円

(仕訳-本店側)
借方 金額 貸方 金額
支店 120,000 支店売上 120,000
(仕訳-支店側)
借方 金額 貸方 金額
本店仕入 120,000 本店 120,000
売掛金 200,000 売上 200,000

実際には本店が支店の取引先へ商品を販売(発送)していますが、普段の取引と同様、支店を介して取引したものとして記帳します。商品を販売した際の売掛金は支店の債権として処理します。

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