未払費用と未払金との違い

未払費用と未払金はともに取引相手に未だ支払っていない対価を表す科目ですが、その違いについて企業会計原則注解・注5(3)では以下のように規定しています。

上記の通り、未払費用は継続的に役務提供（サービスの提供）を受ける場合において、未だに支払っていない代金のうち、当期末の段階ですでに役務提供を受けた部分に対応する金額を当期の経費とするため計上される負債勘定（経過勘定）をいうのに対し、未払金とは上記以外のもの（たとえば役務提供や物品の引き渡しがすべて完了しているにもかかわらず、代金の未払いとなっているものなど）をいいます。
なお、小売業者の商品購入代金の未払い分など、本来の営業活動に伴って発生する代金債務は未払金ではなく買掛金勘定を使用します。

（具体例１－未払費用）

１．当社は×1年1月1日において銀行から100,000円を借り入れ当座預金とした。なお返済日は×1年12月31日であり、利息1,200円といっしょに返済する契約である。

２．×1年3月31日決算日を迎えた。上記借入金の利息に関する決算時の仕訳を示しなさい。

（計算過程）
利息の支払いは12月31日に1年分をまとめて支払いますが、借入日の1月1日から決算日の3月31日まで期間に対応する利息は当期の費用となります。したがって、決算日には当期の費用として計上すべき金額を『支払利息』（費用）として計上し、相手勘定は『未払費用』として処理し、流動負債として貸借対照表に計上します。

借入日から支払日までの期間：×1年1月1日から×1年12月31日までの12か月
借入日から決算日までの期間：×1年1月1日から×1年3月31日までの3か月

∴当期配分額：1,200円×3か月/12か月＝300円

未払費用は、継続的な役務提供の対価のうち、当期の期間に対応する部分を当期の経費とする（期間損益計算の適正化）ために計上される経過勘定であり、貸借対照表上は流動負債の区分に表示されます。

（具体例２－未払金）

営業用の車両を1,000,000円で購入した。代金は来月末に支払う予定である。

すでに完了した役務提供の対価や固定資産購入代金の未払額は未払金勘定を使用します。