委託販売の販売時(その都度法・期末一括法)の会計処理

委託販売において、委託者は受託者が商品を販売した時、または売上計算書が到着した日に売上収益を計上することになりますが、販売した商品の原価は当期の費用となるため、これを『積送品』勘定(資産)から『仕入』勘定(費用)勘定へ振り替えることが必要となります。
この積送品が販売された時の商品原価の振替方法には次の2つの方法があります(委託販売のその他の論点に関しては委託販売の仕訳・会計処理(まとめ)をご参照ください)。

(その都度法と期末一括法)
分類 内容
その都度法 『積送品』勘定から『仕入』勘定への振替は、受託者が商品を販売する都度行う方法
期末一括法 『積送品』勘定から『仕入』勘定への振替は、期末において一括して行う方法

上記の通り、その都度法は期中において商品販売の都度、販売した商品の原価を『積送品』勘定から『仕入』勘定へ振り替えますので、決算整理前残高試算表上(前T/B)の『積送品』勘定の借方残高は期末時点において未販売の積送品の原価を表しているのに対し、期末一括法では『積送品』勘定から『仕入』勘定へ振り替えは期末に一括して行うため、決算整理前残高試算表上の『積送品』勘定の借方残高は期首の積送品残高と当期に発送した積送品原価の合計を表しています。簿記検定などでは、積送品の振替がその都度法か、それとも期末一括法なのかしっかりと確認することが重要です。

(具体例1-委託販売の販売時の仕訳・その都度法)

A社は委託販売のため、委託先(受託者)であるB社に商品10,000円(10個)を発送した。その後、B社より商品6,000円(6個)を販売した旨の連絡は入った。A社の積送品原価振替に関する仕訳を示しなさい。なお、A社では積送品原価の振替は販売の都度行っている(その都度法)

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
仕入 6,000 積送品 6,000

その都度法においては、商品販売の都度、販売した積送品の原価を『積送品』勘定から『仕入』勘定へ振替ていますので、期末において、販売した積送品の振替処理は必要ありません。

(具体例2-委託販売の販売時の仕訳・期末一括法)

A社は委託販売のため、委託先(受託者)であるB社に商品10,000円(10個)を発送した。その後、B社より商品6,000円(6個)を販売した旨の連絡は入った。A社の積送品原価振替に関する仕訳を示しなさい。なお、A社では積送品原価の振替は起案津に一括して行っている(期末一括法)

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
仕訳なし

2.決算日を迎えた。当期に販売した積送品は6,000円(6個)、未販売の積送品は4,000円(4個)であった。積送品に関する決算整理仕訳を示しなさい。なお当社では委託販売は当期より新規で行っているため期首在庫は存在しない。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
仕入 10,000 積送品 10,000
積送品 4,000 仕入 4,000

期末一括法では、積送品勘定の借方残高は期首の積送品原価と当期に発送した積送品原価の合計額が計上されています。上記の仕訳において、これを仕入勘定に振り替え売上原価に算入し、積送品の未販売残高を積送品勘定(資産)に振り替え翌期に繰り越しています。これにより差額である積送品の販売原価が仕入勘定に計上され売上原価に集計されることになります。

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