資本的支出と収益的支出との区分と按分計算(形式基準)

固定資産の取得後において修繕や改良のため要した支出は、会計上以下の2つに分けられます。

区分 内容 処理
資本的支出 物理的な機能を付加したり、より品質の高い部品に取り換えるなどにより、固定資産の価値が高まったり、あるいは耐用年数が延長されるような支出。 固定資産の取得原価に加算
収益的支出 物理的な機能を維持したり、補修のための支出など、おもに維持・原状回復を目的とする支出。 支出時の修繕費として処理

その支出が資本的支出にあたるか、あるいは収益的支出にあたるかは、本来、個別具体的な案件ごとにその支出の実態に即した判断が求められますが、そのような判断は容易ではない場合もあり、実務上は税法に定める以下の形式基準により判断されることになります(法人税基本通達7-8-3から6参照)。

(資本的支出・収益的支出について形式基準)
1

一の修理、改良等が次のいずれかに該当する場合、その修理、改良等のために要した費用の額については、修繕費とすることができる。

1.支出額が20万円未満の場合
2.その修理や改修が、3年以内の期間を周期として行われるものである場合

2

一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合、その金額が次のいずれかに該当するときは、その支出を修繕費とすることができる。

1.支出額が60万円未満の場合
2.その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合※

3

一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合においては、継続適用を条件として次のいずれか少ない金額を修繕費を修繕費とすることができる。

1.支出額の30%相当額
2.当該固定資産の前期末における取得価額の10%相当額※

4

災害などにより被災した資産について支出した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでないものがある場合においては、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする事ができる。

※前期末における取得価額とは、最初の取得価額の事であり、前期末帳簿価額ではありません。

なお、上記1に当てはまる場合はすべて修繕費として費用処理することができますが、2から4についてあてはめることができるのはその支出が資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでないものについてのみです。

資本的支出としたときの会計処理(按分計算)について

固定資産に対する支出を資本的支出としたとき、当該支出金額は固定資産の取得原価に加算されることになります。ただし、当該支出の全額が加算されるというわけではなく、固定資産の耐用年数の延長期間に対応する部分、または固定資産の価額が増加すると認められる部分の金額のみを取得原価に加算し、残りの支出部分は収益的支出とし支出時の費用として処理することになります(法人税法施行令第132条)。

(資本的支出と収益的支出の按分計算)
耐用年数が延長する場合 資本的支出=支出額×延長した耐用年数/延長後の残存耐用年数
価値が増加する場合 資本的支出=支出後の時価-支出前の時価※

※支出前の時価とは、当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測されるその支出の時における当該資産の価額をいいます。

なお、上記のいずれにも該当する場合には、いずれか多い金額を資本的支出として処理することになります。

(具体例-資本的支出)

保有する建物(耐用年数30年、経過年数20年)について改修工事を行った。この改修工事により、耐用年数は5年間延長されると見積もられる。当該改修工事に関する仕訳を示しなさい。なお改修工事の費用は3,000,000円であり、小切手で支払った。

(計算過程)
この支出により耐用年数は5年延長されます。当該建物の当初の耐用年数は30年であり、すでに20年経過しているため従来の残存耐用年数(使用可能期間)は10年ですが、改修工事によりこれが10年+5年=15年となります。

資本的支出額:3,000,000円×5年/15年=1,000,000円
収益的支出額:3,000,000円-1,000,000円=2,000,000円

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
建物 1,000,000 当座預金 3,000,000
修繕費 2,000,000

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