特別修繕引当金の仕訳・会計処理

数年に1度の定期的な大修繕に対して設定される引当金を特別修繕引当金といいます。これは、船舶や溶鉱炉などは法律により定期的な修繕が義務づけられている場合があり、このような将来の定期的な修繕に対し、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上するために設定される貸方勘定です。
特別修繕引当金を設定した時の仕訳について、借方『特別修繕引当金繰入』は販売費及び一般管理費または製造原価として計上します。また貸方『特別修繕引当金』は1年基準が適用され、決算日の翌日から1年以内に修繕が行われる場合は流動負債、1年を超えて修繕が行われる場合は固定負債として計上されます(なお、1年以内の修繕に対して設定される修繕引当金に関しては、修繕引当金の仕訳・会計処理をご参照ください)。

(具体例-特別修繕引当金)

1.x1年度決算期において、5年後のx5年に行われるの船舶の定期修繕に備えて特別修繕引当金10,000円を設定した。

(仕訳・x1年設定時)
借方 金額 貸方 金額
特別修繕引当金繰入 10,000 特別修繕引当金 10,000

2.x4年度決算期において、翌年x5年に行われるの船舶の定期修繕に備えて特別修繕引当金10,000円を設定した。

(仕訳・x4年設定時)
借方 金額 貸方 金額
特別修繕引当金繰入 10,000 特別修繕引当金 10,000

定期修繕は翌年に行われるため、x1年から積み立てられた特別修繕引当金40,000円を貸借対照表上において固定負債から流動負債に表示区分を変更します。

3.x5年において船舶の定期修繕が行われた。修繕費50,000円は小切手で支払った。

(仕訳・修繕時)
借方 金額 貸方 金額
特別修繕引当金 40,000 当座預金 50,000
修繕費 10,000

実際の修繕費と特別修繕引当金設定額との差額は修繕費として計上されます。

特別修繕引当金の法人税法上と取扱い(実務上の注意)

現在、法人税法において引当金処理が認められるのは貸倒引当金と返品調整引当金のみとなっています。したがって会計上設定した特別修繕引当金に関しては損金不算入となりますので別表四において加算調整が必要となります。
なお税務上、船舶安全法第5条第1項第1号の規定による定期検査を受けなければならない特定船舶(総トン数が5トン未満のものを除く)の、当該定期検査を受けるための修繕については特別修繕準備金の積立が認められますので、これらの船舶に関しては準備金により税務上の手当てが可能となります(租税特別措置法57の8)。

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