内部統制の6つの基本的要素
内部統制とは、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準 1-1.内部統制の定義」以下のように定義されています。
内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。
内部統制の基本的要素とは、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全という内部統制の4つの目的を達成するために必要とされる内部統制の構成要素をいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つがあげられています。
統制環境 | 統制環境とは、組織の気風を決定し、組織内の全ての者の統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎をな し、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング及びITへの対応に影響を及ぼす基盤をいう(誠実性及び倫理観、経営者の意向及び姿など)。 財務報告の信頼性に関しては、例えば、利益計上など財務報告に対する姿勢がどのようになっているか、また、取締役会及び監査役等が財務報告プロセスの合理性や内部統制システムの有効性に関して適切な監視を行っているか、さらに、財務報告プロセスや内部統制システムに関する組織的、人的構成がどのようになっているかが挙げられる。 |
リスクの評価と対応 | リスクの評価と対応とは、組織目標の達成に影響を与える事象について、組織目標の達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析及び評価し、当該リスクへの適切な対応を行う一連のプロセスをいう。 |
統制活動 | 統制活動とは、経営者の命令及び指示が適切に実行されることを確保するために定める方針及び手続をいう。 統制活動には、権限及び職責の付与、職務の分掌等の広範な方針及び手続が含まれる。このような方針及び手続は、業務のプロセスに組み込まれるべきものであり、組織内の全ての者において遂行されることにより機能するものである。 財務報告の信頼性に関しては、財務報告の内容に影響を及ぼす可能性のある方針及び手続が、経営者の意向どおりに実行されていることを確保すべく、例えば、明確な職務の分掌、内部牽制、並びに継続記録の維持及び適時の実地検査等の物理的な資産管理の活動等を整備し、これを組織内の各レベルで適切に分析及び監視していくことが重要になる。 |
情報と伝達 | 情報と伝達とは、必要な情報が識別、把握及び処理され、組織内外及び関係者相互に正しく伝えられることを確保することをいう。 組織内の全ての者が各々の職務の遂行に必要とする情報は、適時かつ適切に、識別、把握、処理及び伝達されなければならない。また、必要な情報が伝達されるだけでなく、それが受け手に正しく理解され、その情報を必要とする組織内の全ての者に共有されることが重要である。一般に、情報の識別、把握、処理及び伝達は、人的及び機械化された情報システムを通して行われる。 |
モニタリング | ここでいうモニタリングとは、内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセスをいい、業務に組み込まれて行われる日常的モニタリングおよび通常の業務から独立した視点で、定期的又は随時に行われる独立的評価からなる。 |
ITへの対応 | 内部統制の基礎要素としてのITへの対応とは、組織目標を達成するためにあらかじめ適切な方針および手続を定め、それを踏まえて業務の実施において組織内外のITに対して適切に対応することをいう |
内部統制の目的を達成するためには、経営者は内部統制の基本的要素が組み込まれたプロセスを整備し、そのプロセスを適切に運用していく必要があります。内部統制のそれぞれの目的を達成するには、全ての基本的要素が有効に機能していることが必要であり、それぞれの基本的要素は、内部統制の目的の全てに必要になるという関係にあります(財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準 1-1.内部統制の定義 中段参照)。
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