個人事業主が自家消費を行ったときの仕訳・勘定科目

たとえばラーメン店を営む個人事業主がお店のラーメンを自分または家族などで消費した場合など、個人でお店を営む個人事業主がお店の商品(たな卸資産)を自分のために消費することを自家消費といいます。

このような自家消費ですが、所得税の事業所得を計算するうえでは収入(売上)として処理することが必要となります。したがって自家消費した商品の販売価格相当額を『家事消費等』または『売上』などの勘定科目を使って収益計上することになります(『家事消費等』は個人事業における収益勘定科目です。なお家事消費の対象はたな卸資産などの資産に限られサービスの提供は含まれません(所得税法第39条、所得税基本通達39-1参照))。

なお、自家消費のさいに収益計上する金額は上記の通り外部への販売価格を原則としますが「1.取得原価以上であり」かつ、「2.販売価格の70%以上である」であればその金額を自家消費の価格とすることも認められます(所得税基本通達39-2参照)。

(自家消費の計上金額)
原則 外部への販売価格と同額
容認 1.たな卸資産の取得価格
2.外部への販売価格の70%

のいずれか大きい金額

(具体例-自家消費の仕訳と計算)

ラーメン店を営む個人事業主が、お店の商品(ラーメン)を家族に提供した。ラーメンの販売価格は1,000円(材料代は800円)であった。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
事業主貸 800 家事消費等 800

貸方の『家事消費等』勘定は収益を表す勘定科目です(『売上』勘定などを使用する場合もあります)。
また自家消費の場合には実際の現金のやり取りはないため、借方には『事業主貸』勘定を使って記帳します。

自家消費の金額について、原則としては外部への販売価格を使用するため1,000円として記帳することになりますが、棚卸資産の取得原価(この設例では800円)と販売価格の70%(この設例では1,000円×70%=700円)のいずれか大きい金額以上であれば容認されるため、上記では仕入原価800円を使って計上しています。

(論点-自家消費と消費税について)

自家消費の消費税に関する取扱いについて、外部取引が課税取引となるのであれば当該資産に係る自家消費も課税取引となります(消費税の場合、通常の販売価格のほか、「1.取得原価以上であり」かつ、「2.販売価格の50%以上である」である場合には対価の額として認められる特例があり、たとえば取得原価が販売価格の60%の資産を家事消費した場合の所得税と消費税の取り扱いや仕訳についてはどのようにするのかなどの問題となる場合があります。詳細は「自家消費の消費税(今後記載予定)」をご参照ください)。

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