株式交換-段階取得の場合の仕訳(個別財務諸表)

株式交換において、株式交換完全親会社となる会社が株式交換完全子会社となる会社の株式の一部を株式交換日以前より保有していた場合(取得が複数の取引により達成された段階取得の場合)、個別財務諸表上においては、事前に保有していた株式については株式交換日の前日の適正な帳簿価額により、『子会社株式』に振り替える処理を行います(企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針第110項また書き参照)。

なお段階取得の場合、増加すべき株主資本の額は新たに発行した株式交換完全親会社株式の時価をもとに算定します。

(株式交換完全親会社-段階取得時の個別上の仕訳)
借方 金額 貸方 金額
子会社株式
(新たに取得した分)
新たに交付した株式の時価 資本金など 新たに交付した株式の時価
子会社株式
(株式交換前保有分)
帳簿価額 投資有価証券 帳簿価額
(具体例-株式交換・段階取得時の個別上の仕訳)

A社(取得企業)を完全親会社、B社を完全子会社とする株式交換を行った。B社の株式交換直前の貸借対照表は以下の通りである。A社の株式交換時における個別上の仕訳を示しなさい。

(B社の貸借対照表)
諸資産 5,000 諸負債 2,000
資本金 1,800
利益剰余金 1,200

1.株式交換時におけるA社の発行済株式総数は100株であり、B社の発行済株式総数も100株である
2.株式交換における交換比率は1:0.5である。なお株式交換日の前日において、A社はB社株式10株をその他有価証券(帳簿価額800円)として保有している。
3.株式交換に際し、A社は自社の保有するB社株式に対しては新株を交付しない。
4.A社株式の株式交換日における時価は1株当たり100円、B社の諸資産の時価は6,000円、諸負債の時価は2,000円であった。
5.A社の増加資本はすべて資本金として計上するものとする。

(計算過程)
B社株主に交付する株式数:(B社の発行済株式数100株-うちA社保有分10株)×交換比率0.5=45株
B社株主に交付するA株式の時価:交付株式数45株×@100円=4,500円(B社株式の取得原価)
子会社株式の増加額:事前に保有していたB社株式の簿価800円+株式交換によって新たに取得したB社株式4,500円=5,300円

(仕訳-A社の株式交換時の仕訳)
借方 金額 貸方 金額
子会社株式 5,300 資本金 4,500
投資有価証券 800

完全親会社A社にとっての株式交換によって新規に取得したB社株式の取得原価は、交付した親会社株式の時価などをもとに算定します。上記ではB社株主(A社を除く)にたいしA社株式を45株交付しており、これに株式交換時におけるA社株式の時価@100円を乗じた4,500円が新規に取得したB社の取得原価となります。

事前に保有していたB社株式については、個別会計上は帳簿価額をもって子会社株式に振り替えますので、事前に保有していたB社株式については帳簿価額800円で子会社株式へと振り替えます。

(関連項目)
株式交換の仕訳の基礎(個別財務諸表上の処理)
株式交換の対価として自己株式を処分した時の仕訳(個別財務諸表)

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