商品売買の記帳方法（総記法）

総記法とは『商品』勘定のみを使って商品売買を記帳する方法です。
総記法では、商品を仕入れたときは仕入原価を使い『商品』勘定の借方に記帳し、商品を販売したときは売価を使って『商品』勘定の貸方に記帳します。
この方法では、決算整理として当期に販売した商品の利益を

（借方）商品/（貸方）商品販売益

と仕訳をきることにより、結果として商品勘定の借方残高が期末商品残高を表すことになります（詳細は下記をご参照ください）。

（具体例－総記法）

1．商品12,000円を仕入れ、代金を現金で支払った。

2．上記の商品のうち、原価10,000円分の商品を14,000円で販売し、代金は現金で受け取った。

3．決算時の期末在庫商品は2,000円、当期の商品販売益は4,000円(＝14,000円－10,000円）である。

上記のように決算時に商品販売益を商品勘定の借方と商品販売益勘定の貸方に記帳することにより、結果として商品勘定の借方残高は期末商品在庫と一致します（上記数値例の場合の商品勘定の借方残高は、仕入12,000円＋商品販売益4,000円－売上14,000円＝2,000円）。
なお、商品の期末残高が判明していれば、商品勘定の貸借差額に期末商品残高を足すことにより商品販売益を簡易に算出することができます（上記の数値例でいえば、決算整理前商品勘定貸借差額2,000円＋期末商品残高2,000円＝商品販売益4,000円）。

総記法は仕入高・売上高をそのまま使って記帳できる容易さがありますが、総記法における『商品』勘定は、上記のように借方を仕入れた商品の原価で記帳し、貸方を販売した商品の売価で記帳することからその貸借差額である商品勘定の残高は何の意味も持たないことになり（このような勘定を混合勘定といいます）、帳簿上から企業の業績を直接的に把握することができず、実務上で使用されることはほとんどありません（実務上ではほとんどの場合、三分法が使用されています。また簿記検定などでも特に指示がない限り三分法を使用します）。

（関連項目）
商品売買の記帳方法（分記法）