真実性の原則(相対的真実)とは

企業会計原則一では、真実性の原則のついて以下の様に規定しています。

企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。

『真実な報告』という根本的なルールを規定する真実性の原則は、企業会計の根幹にかかわるものとして、極めて重要な意味をもつものといえます。
企業会計全般に関わる根本的なルールを規定する真実性の原則は、他の一般原則よりさらに上位に位置するものであり、他の一般原則は真実な報告をより具体化するためものであるといえます。一般に真実性の原則は企業会計の最高規範としての地位をもつと言われています。

真実の定義(相対的真実と絶対的真実について)

真実性の原則でいうところの真実とは、相対的な真実(見方によってかわる)であるといわれています。

相対的真実とは、ある会計事象について、複数の異なる人物が異なる処理を行い、異なる結果をもたらしたとしても、それぞれが定められた手続きに従って処理している限り、ともに真実なものとしても認めるということを意味するものです。
たとえば、同じ種類の固定資産の減価償却費を算定するにあたり、ある会社では定額法を採用し、また別の会社では定率法を採用した結果、異なる金額を計上したとしても、どちらもその企業の実態に合った方法として認められたものであれば、ともに真実なものとして扱う事を意味します。
一般に、会計は記録と慣習と判断の総合的表現と言われており、そのような性質をもつ企業会計が意味するところの「真実」とは必然的に相対的なものを意味するものと捉えることができます。

一方、絶対的真実とは、ある会計事象については、処理する人の立場や環境に関わりなく、必ず同一の結果をもってして真実を意味することをいいます。

上記のように会計は記録と慣習と判断の総合的表現としてとらえらえる以上、会計は取引時点の価格で記録され、また慣習や個人的な判断が介入せざる得ず、これらを常に排除し、常に同一の結果をもたらす絶対的真実を求めることが難しいため、相対的真実にならざる得ないものいえます。

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