債務確定主義(根拠条文・基本概念・要件)とは

債務確定主義とは、債務の確定したものについてのみ費用(損金)として計上するという考え方であり、税務における原則的な損金の認識基準をいいます。

法人税法第22項第3項では、損金に計上すべき額について以下のように規定しています。

内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。

一  当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二  前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三  当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

第2号のカッコ書きにおいて、法人税法における損金計上の要件として、債務の確定したものであることが必要である旨が規定されています(ただし、減価償却費は除きます)。

また、いかなるものを債務が確定したものとするのかの判定基準として、法人税法基本通達2-2-12では以下の通り規定しています。

法第22条第3項第2号の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。

1.当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
2.当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
3.当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

企業会計における費用認識の基準として発生主義が採用されています。
会計上計上される各種の引当金は、経済価値費消の事実に基づき、当期の費用を見積もり、これを当期の費用として計上するものですが、債務確定主義を原則とする税務上の所得計算の観点からは、見積による費用計上は、上記の要件を満たしませんので、これを当期の損金とすることは認められません(ただし、特定の条件を満たす貸倒引当金や返品調整引当金などは除きます)。

なお減価償却費について、上記の確定債務の要件を満たすものではありませんが、特定の方法に従って算定された償却費は損金として認められます。

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