総額主義の原則(損益計算書)とは

損益計算書における総額主義の原則について、企業会計原則第二・損益計算書原則一・Bでは以下の様に規定しています。

費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない。

総額主義の原則が必要とされるのは、総額表示を原則とすることにより、損益計算書において企業の取引規模を明確にする必要があるためです。
損益計算書には企業を取り巻く利害関係者に対し、経営状態・経営成績に関する有用な情報を提供し、より適切な判断を可能とすることが求められます。
そのためには利害関係者に単純な利益数値だけを開示するのではなく、利益の発生源泉や取引規模、利益率等、より有用な判断を可能とさせるため様式を備えたものである必要があります。

仮に、売上高と売上原価、あるいは受取利息と支払利息などを相殺表示した場合、利害関係者は利益額を知ることができても、企業がどのくらいの規模の活動により得たものなのか、収益性の高い事業を行っているのかなどの情報を把握することはできず、限られた情報のもとでの判断により損失を被ることも考えられます。
利害関係者がより有用な情報のもとで適切な判断を行えるようにするためにも損益計算書の総額主義の原則が必要となります。

総額主義の原則の例外

損益計算書は上記の通り総額表示を原則としていますが、例外として純額(利益と損失を相殺)で表示することを認めているものもあります。

例えば、外貨建取引により発生する為替差益と為替差損の純額表示というものがあります。為替差益と為替差損は為替相場の変動という同一の要因によって発生するものであり、支払利息と受取利息のように異なる要因によって発生するものではないこと。さら為替差益と為替差損とを相殺し、純額で表した方が為替相場変動リスクの結果をより明確に表すことができるとの理由により、相殺表示が認められています(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第69項参照)。

そのほかにも、有価証券の売却損益、固定資産売却損益など総額主義の原則の例外として純額表示が認められるものがあります。

(関連項目)
総額主義の原則(貸借対照表)とは

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