一時差異と永久差異

税効果会計は、企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において、法人税等の額を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続をいいます。(税効果会計に係る会計基準・第一 税効果会計の目的参照)。

なお、企業会計上と課税所得計算上の差異は次の2つに分けることができます(税効果会計に係る会計基準 第二・一 、個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針4、14等参照)。

(一時差異と永久差異)
一時差異 一時差異とは、貸借対照表及び連結貸借対照表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額をいい、次のような場合に生じるものをいいます。

・収益又は費用の帰属年度が相違する場合(期間差異)
・資産の評価替えにより生じた評価差額が直接資本の部に計上され、かつ、課税所得の計算に含まれていない場合(評価差額)

永久差異 永久差異とは、税引前当期純利益の計算において、費用又は収益として計上されるが、課税所得の計算上は、永久に損金又は益金に算入されないものをいい、以下のようなものが該当します。

・税務上の交際費の損金算入限度超過額
・損金不算入の罰科金
・受取配当金の益金不算入額  など

上記のうち、税効果会計の対象となるのは一時差異です。これは将来、差異が解消した年度において課税所得を増減させるものであるため、税効果会計の対象とし、法人税等を適切に期間配分することが必要となります。
一方、永久差異は課税所得の計算上、永久に損金又は益金に算入されない項目であり、将来において、課税所得の計算上で増減させる効果をもたないため税効果会計の対象とはなりません(個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針14参照)。

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