仕入税額控除の仕組み(基礎概念)
消費税の納税義務者(事業者)は、税抜販売額の8%(税込販売額の8/108)を納付することが求められます。
しかし、商品や材料を仕入先から購入する際、仕入価格に8%の消費税を上乗せして支払を行っています。したがって、この仕入の際に支払った消費税は、消費税の納付額の先払いのように考えて、実際の消費税の納付額は原則として以下のように算定することになります。これを仕入税額控除といいます。
消費税の納税額=税込売上高×8/108-税込仕入高×8/108 |
(具体例)
A社は商品を10,000円(税込10,800円)を仕入先から購入し、これに5,000円の利益を加算し、消費者に15,000円(税込16,200円)で販売した。A社の納付する消費税額を算定しなさい。
消費税の納税額=税込売上高×8/108-税込仕入高×8/108
したがって当社の納税額は |
このような仕入税額控除の仕組みは消費者から消費税を二重三重に徴収しないための仕組みとして設けられたものであるといえます。
上記の設例において、A社は仕入れた商品に5,000円の利益を加算して消費者に販売しています。仮に仕入税額控除の制度がない場合、同じ5,000円の利益を確保するためには商品を17,000円(仕入原価10,000円+消費税800円+利益5,000円=税抜価格15,800に当社が加算する消費税1,200円、なお説明の簡素化のため100円未満切り捨てています)で販売する必要があり、販売価格が800円高くなってしまいます。これは仕入先の業者が加算した消費税800円も含めて消費者が負担していることを意味しており、消費者の実質的に負担する消費税額が売価の8%を大きく上回ってしまっています。
仕入の際に支払った消費税を控除できることにより、このような不都合を排除することが可能となります(多段階累積控除)。
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