中古資産の減価償却費に関する仕訳・会計処理
新品の固定資産を購入した場合、税法に定める耐用年数表をもとに耐用年数が決定されますが、購入した資産が中古資産の場合は耐用年数の決定に別途規定が設けられています。
取得した中古資産の耐用年数については、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数を耐用年数として償却計算を行いますが、一般的にはそのような見積もりは行わず、以下の簡便法によって耐用年数を算定します(耐用年数省令第三条)。
(中古資産の耐用年数の算定)
経過年数 | 計算式 |
法定耐用年数の全部を経過した資産 | その資産の法定耐用年数×20% |
法定耐用年数の一部を経過した資産 | (法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20% |
経過年数に端数がある場合(例:4年3か月など)の場合には月数(27か月)になおして計算します。
ただし計算の結果、耐用年数に発生した1年未満の端数は切り捨てます。なお、年数が2年に満たない場合は2年とします。
(具体例1-中古資産の購入・全部経過の場合)
当社は3月決算の会社である。10月1日に機械1,000,000円を取得し、同日より事業での使用を開始した。なお、この機械は中古で購入したものであり、事業供用後11年を経過したものである(法定耐用年数は10年)。当社は定額法を採用しており、定額法の償却率は以下の通りである。当期の減価償却費を仕訳しなさい。
(定額法償却率)
10年:0.100 6年:0.167 5年:0.200 4年:0.250 2年:0.500
(計算過程)
耐用年数:10年×20%=2年
償却額:1,000,000円×0.500×6月/12月=250,000円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 250,000 | 減価償却累計額 | 250,000 |
(具体例2-中古資産の購入・一部経過の場合)
当社は3月決算の会社である。10月1日に機械1,000,000円を取得し、同日より事業での使用を開始した。なお、この機械は中古で購入したものであり、事業供用後6年を経過したものである(法定耐用年数は10年)。当社は定額法を採用しており、定額法の償却率は以下の通りである。当期の減価償却費を仕訳しなさい。
(定額法償却率)
10年:0.100 6年:0.167 5年:0.200 4年:0.250
(計算過程)
耐用年数:(10年-6年)+6年×20%=5.2→5年(1年未満の端数は切り捨てます)
償却額:1,000,000円×0.200×6月/12月=100,000円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 100,000 | 減価償却累計額 | 100,000 |
(具体例3-中古資産の購入・経過年数に端数がある場合)
当社は3月決算の会社である。10月1日に機械1,000,000円を取得し、同日より事業での使用を開始した。なお、この機械は中古で購入したものであり、事業供用後4年8か月を経過したものである(法定耐用年数は10年)。当社は定額法を採用しており、定額法の償却率は以下の通りである。当期の減価償却費を仕訳しなさい。
(定額法償却率)
10年:0.100 6年:0.167 5年:0.200 4年:0.250
(計算過程)
耐用年数:(120月-56月)+56月×20%=75.2月→6年(経過年数に1年未満の端数がある場合は月数にして計算しますが、計算結果の1年未満の端数は切り捨てます)
償却額:1,000,000円×0.167×6月/12月=83,500円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 83,500 | 減価償却累計額 | 83,500 |
中古資産に改良等を行った場合(実務上の注意)
取得した中古資産に対し、当該資産を事業の用に供するに当たって支出した資本的支出の金額が当該資産の再取得価額の100分の50(新品で同様の資産を購入した時の価格の50%)に相当する金額を超えるときは、当該資産については法定耐用年数を使用して償却計算を行う必要があります(耐用年数通達1-5-2)。
また取得した中古資産に対し、当該資産を事業の用に供するに当たって支出した資本的支出の金額が当該中古資産の取得価額の50%を超えるとき(再取得価額の50%以下である場合に限る)は上記の簡便法を使用できず、以下の算式により耐用年数を算定します(耐用年数通達1-5-6)。
(取得価額+資本支出)÷(取得価額÷簡便法耐用年数+資本的支出÷法定耐用年数) |
(具体例-中古資産の購入・改良費)
当社は3月決算の会社である。10月1日に機械1,000,000円を取得し、同日より事業での使用を開始した。なお、この機械は中古で購入したものであり、事業供用後5年を経過したものである(法定耐用年数は10年)。当社では、当該機械を取得した際、機械の一部改良につき600,000円を取得している(当該機械の再取得価額は1,800,000円である)。
当社は定額法を採用しており、定額法の償却率は以下の通りである。当期の減価償却費を仕訳しなさい。
(定額法償却率)
10年:0.100 7年:0.143 6年:0.167 5年:0.200 4年:0.250 2年:0.500
(計算過程)
簡便法耐用年数:(10年-5年)+5年×20%=6年
耐用年数:(100万円+60万円)÷(100万円÷6年+60万円÷10年)=7.05→7年(計算結果の1年未満の端数は切り捨てます)
償却額:1,600,000円×0.143×6月/12月=114,400円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 114,400 | 減価償却累計額 | 114,400 |
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