労働保険料(年度更新)の簡単なしくみ

会社は従業員を雇用すると労災保険料を支払う必要があります。また一定の条件(一週間で20時間以上勤務など)を満たす労働者に対しは雇用保険料を支払う必要があります。
この労災保険と雇用保険とはあわせて労働保険といい、毎年6月から7月にかけて申告・納付する必要があります(これを年度更新といいます)。
ここでは労働保険(年度更新)の仕組みについて簡単にご説明します。

1.労働保険の保険料と計算について

雇用保険の保険料率は業種によって決まっており、労働者への賃金金額に保険料率を乗じて算定します。
令和3年度の雇用保険の保険料率は以下の通りとなっております。

令和3年雇用保険料率
事業の種類 被保険者負担率 事業者負担率 合計料率
一般の事業 3/1,000 6/1,000 9/1,000
農林水産
清酒製造の事業
4/1,000 7/1,000 11/1,000
建設の事業 4/1,000 8/1,000 12/1,000

労災保険の保険料率は業種ごとにさらに細かく規定されており(例えば食品製造業なら6/1,000など)これはすべて事業主が負担します。代表的な業種ごとの労災保険料の料率は以下の通りです。

令和2年・3年共通労災保険料率(一部のみ抜粋)
事業の種類の分類 事業の種類 保険料率
林業 林業 60/1,000
漁業 海面漁業 18/1,000
建設事業 その他建設事業 15/1,000
製造業 食品製造業 6/1,000
製造業 化学業 4.5/1,000
製造業 コンクリート製造業 13/1,000
運輸業 交通運輸事業 4/1,000

分類別の詳細な保険料率は労働基準監督署などのホームページなどでご確認ください。

また上記とは別に一般拠出金(アスベスト健康被害者の救済費用に充てるためのもの)と呼ばれるものがあり、これは事業に関係なく保険料率は0.02/1,000となりこちらもすべて事業主負担となります。

一般拠出金の保険料率:0.02/1,000
2.年度更新の流れ

上記の保険料は毎年6月から7月にかけて事業主が計算して納付することになりますが(年度更新)、その計算方法は次のような流れとなります。

1.その年の4月から翌年の3月までの賃金の支払額を見積もり、上記の保険料率を乗じて概算保険料を算定する。
2.前年の4月からその年の3月までの賃金の実際の支払い額を使ってその年の3月までの確定保険料を算定する。
3.前年の年度更新時に算定した概算保険料と今回計算した確定保険料とを比較して差額を精算する。
4.賃金の実際の支払い額を使って一般拠出金の金額を算定する。

5.今後1年の概算保険料ならびに前年の概算保険料と確定保険料との精算額、一般拠出金の合計を7月10日までに納付する。

概算保険料はその年の4月から翌年の3月までの給与の支払い額を見積もり、この見積もり金額を使って翌年3月までの保険料を概算で算定し納付します。この概算保険料の計算と同時に去年計算した概算保険料が実際の賃金の支払い額を基に計算した確定保険料とくらべ少ない場合には差額を今年の概算保険料と一緒に納付、少ない場合には今年の概算保険料から差し引きして精算します。

概算保険料と確定保険料の2つの用語の違い注意する必要があります。なおこのようなに計算された保険料は毎年7月10日(10日が土・日曜日にあたるときは、翌週月曜日)までに納付するのですが、この保険料には労働者の負担すべき雇用保険も企業がいったん立て替えて支払います。立て替えて支払った金額が労働者の賃金から天引きすることによって精算することになります。

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