定期保険料(掛け捨ての生命保険料)を支払った時の仕訳・会計処理

会社が自己を契約者、役員や社員(これらの親族をふくむ)を被保険者とする定期保険料(掛け捨ての生命保険の保険料)を支払った時は、当該保険に係る死亡保険金の受取人の違いによりそれぞれ次のように処理します(法人税法基本通達9-3-5参照)。

(定期保険の会計処理)
保険金受取人 処理方法
保険金受取人が会社の場合 会社が支払った生命保険料の額は『保険料』『支払保険料』などの勘定科目で処理し、期間の経過(※)に応じて費用(損金)として処理します。
保険金受取人が被保険者の遺族の場合 この場合であっても、会社が支払った保険料の額は『保険料』『支払保険料』(または『福利厚生費』)などの勘定科目で処理し、期間の経過(※)に応じて費用(損金)として処理します。
ただし、役員や特定の使用人(これらの者の親族を含む)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額については、当該役員又は使用人に対する給与として処理することになります(この場合、当該保険料は源泉所得税の徴収が必要となります)。

(※) 支払った保険料については期間の経過に応じて損金処理するため、1年以上の期間にわたって前払いした保険料などはいったん『前払費用(または長期前前払費用)』などの勘定科目を使って資産計上し、期間の経過に応じてこれを『保険料』などの費用勘定に振り替えることになります。ただし、支払額のうち翌期以降の期間に対応する部分が含まれていたとしても、その全額が支払い時から1年以内の期間に費用化するものであれば、全額を支払時の費用としても差し支えありません(法人税法基本通達2-2-14参照)。

なお、保険料の支払いは消費税の非課税取引として処理します(消費税法第6条第1項・同別表第一参照)。

(具体例-掛け捨ての生命保険料の支払い)

1.役員を被保険者とする掛け捨ての生命保険料(定期保険料)10,000円を普通預金口座より支払った。なお当該生命保険は、毎年同時期に向こう1年分を支払うものであり、保険金の受取人は当社である。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
保険料 10,000 現金 10,000

支払った保険料は期間の経過に応じて費用(損金)として処理します。ただし支払額の全額が1年以内に費用化するものに関しては全額を支払時などの費用(損金)として処理することができます。

2.特定の役員を被保険者とする掛け捨ての生命保険料(定期保険料)10,000円を普通預金口座より支払った。なお当該生命保険は、特定の役員のみを対象としたものであり、保険金の受取人は当該役員の遺族である。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
役員報酬 10,000 普通預金 10,000

保険金の受け取り人が役員や社員の遺族の場合であっても、当該保険料は全額を経費(損金)として処理することができますが、役員や特定の使用人(これらの者の親族を含む)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の支払い額は、役員や使用人に対する給与として処理することになります。この場合、当該保険料(給与と判定)について源泉所得税の徴収が必要となります。

(関連項目)
保険期間の長い定期保険に関する仕訳(長期平準定期保険)

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