キャンセル料・解約手数料の仕訳(消費税の課税・不課税の判定も含む)

航空機やホテルなどを利用するため事前に予約していたものをキャンセルした時などのキャンセル料・解約手数料・払戻手数料等を支払った時は『支払手数料』勘定などを使って記帳します。
なお、消費税課税上において、キャンセル料や解約手数料については以下の2つの性格のものに分類することが必要であり、課税上の取り扱いが異なります(消費税法基本通達5-5-2参照)。

(キャンセル料・解約手数料と消費税)
解約に伴う事務手数料としてのキャンセル料 キャンセル料・解約手数料・払戻手数料などを対価とする役務の提供(解約事務手続きサービスの提供)であり、消費税の課税取引に該当します(課税取引)。
逸失利益等に対する損害賠償金 本来得ることができたであろう利益がなくなったことに対する補てん金であり、資産の譲渡や役務提供の対価に該当しないため消費税の課税取引には該当しません(不課税取引)。

例えば、契約等において解約した時期にかかわらず、一定額をキャンセル料や解約手数料などとして支払うこととしている場合の支払額については、解約等の請求に応じて行う役務の提供の対価に該当すると考えられるため課税取引となりますが、一定期間経過後に解約した場合に支払う割増しの違約金部分は逸失利益の補填部分と考えられるため課税取引とはなりません。
なお、キャンセル料・解約手数料の支払額のうちに解約事務手続の対価に相当する部分と逸失利益等に対する損害賠償金に相当する部分とが含まれている場合には、その解約事務手続の対価に相当する部分が役務の提供の対価(課税取引)に該当しますが、これらの対価の額を区分することなく、一括して支払うこととなっている場合には、その全体を役務提供等の対価に該当しないもの(不課税取引)として取り扱うことになります。

(具体例-キャンセル料)

予約していた航空機のチケット(料金は10,000円であり、支払時に旅費交通費で処理している)をキャンセルし、支払額から解約事務手数料(解約した時期に関わらず支払うもの)1,000円、直前解約によるキャンセル料の割増額4,000円を差し引かれ、残額を現金で受け取った。キャンセル時の仕訳を示しなさい(消費税の記帳は税込経理によるものとする)。

(計算過程)
航空機チケットの解約に伴い、解約事務手数料(解約した時期に関わらず支払うもの)が1,080円、直前解約に伴う割増のキャンセル料が4,000円差し引かれてれ、残額を現金で受け取っています。上記のキャンセル時の控除額のうち、前者の解約事務手数料は解約事務サービスの対価として課税取引となりますが、後者は違約金のため不課税取引となりますので両者を区分して記帳します。

(仕訳-税込経理)
借方 金額 貸方 金額
支払手数料
(課税)
1,080 旅費交通費 10,000
支払手数料
(不課税)
4,000
現金 4,920

解約事務手数料部分と割増手数料部分とを区分し、割増手数料部分を会計ソフトに入力する際などは不課税取引として区分入力してください。

なお、消費税の経理方法を税抜経理によっている場合の仕訳は以下のようになります。

(仕訳-税抜経理)
借方 金額 貸方 金額
支払手数料
(課税)
1,000 旅費交通費 9,259
支払手数料
(不課税)
4,000 仮払消費税 741
現金 4,920
仮払消費税 80

※ 旅費交通費10,000円に含まれる消費税:10,000円×8/108=741円
※ 解約事務手数料1,080円に含まれる消費税:1,080円×8/108=80円

スポンサードリンク