賞与引当金の仕訳・会計処理

賞与引当金とは、翌期に支払われる賞与(ボーナス)のうち、当期の負担分を費用として見積計上する時に使用する負債勘定をいいます。

たとえば、3月決算の会社の賞与の支給日が×2年6月15日と×2年12月15日の年2回(それぞれ600円ずつ)であったとします。さらに、賞与の計算期間(対象期間)が以下の通りであったとします。

6月15日の賞与の計算期間:×1年12月1日から×2年5月31日の勤務に対して支給
12月15日の賞与の計算期間:×2年6月1日から×2年11月30日の勤務に対して支給

この場合、×2年6月15日に支給する賞与については、×2年3月31日の決算日の時点で計算期間が4か月間(12月1日から3月31日までの期間)経過していることになります。この期間に対応する賞与は×2年3月決算期までに発生していると考えることができますので、×2年3月31日決算日において、当期の費用としてその見積額を費用として計上することになります。この際、費用計上は『賞与引当金繰入』勘定(販売費及び一般管理費)、その相手勘定として『賞与引当金』勘定(流動負債)を使用することになります。

借方 金額 貸方 金額
賞与引当金繰入 400 賞与引当金 400

※計算方法:×2年6月15日賞与支給額600円×4月/6月=400円

なお、税務上は引当金の計上は制限されており、賞与引当金の計上は認められません。したがって会計上において『賞与引当金』を計上した時は、申告書において加算調整が必要となります。

(具体例-賞与引当金)

1.計上時
当社は毎年3月末日を決算日とする会社である。当社の賞与(ボーナス)の支給日と計算期間及び支給額の見積りは以下の通りである。3月決算時における賞与引当金に関する仕訳を示しなさい。

6月15日の賞与支給額:1,200,000円
6月15日の賞与の計算期間:12月1日から5月31日の勤務に対して支給

12月15日の賞与支給額:1,200,000円
12月15日の賞与の計算期間:年6月1日から年11月30日の勤務に対して支給

(計算過程)
6月に支給される賞与の計算期間は12月1日から5月31日までであり、これは3月31日の決算日をまたいでいます。したがって3月31日決算日において現在時点までに発生していると考えられる金額を見積もり、これを賞与引当金として計上します。

6月15日の賞与の計算期間:12月1日から3月31日までの6か月
賞与の計算期間のうち、3月末日までの期間:12月1日から3月31日までの4か月
賞与引当金計上額:1,200,000円×4か月/6か月=800,000円

(仕訳-計上時)
借方 金額 貸方 金額
賞与引当金繰入 800,000 賞与引当金 800,000

2.支給時
6月15日において、従業員に対し賞与1,200,000円を現金で支払った時の仕訳を示しなさい(源泉所得税等は考慮しないものとする)。

(計算過程)
賞与支給額のうち、前期(12月1日から3月31日まで)の期間に対応する分は賞与引当金を取り崩し、当期(4月1日から5月31日まで)の期間に対応する分は支給時の費用として処理します

支給時の費用:賞与支給額1,200,000円-賞与引当金残高800,000円=400,000円

(仕訳-取崩時)
借方 金額 貸方 金額
賞与引当金 800,000 現金 1,200,000
賞与 400,000

(関連項目)
社員や従業員にボーナス(賞与)を支給した時の仕訳・勘定科目

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