居住者・非永住者・非居住者の区分

1.居住者・非永住者・非居住者とは

所得税法においては、個人の納税者を『居住者』『非永住者』『非居住者』などに分類し、それぞれ課税所得の範囲を以下のように定めています(所得税法第2条第1項三から五、第5条第2項・3項、第7条一・二等参照)。

(居住者・非永住者・非居住者)
区分 定義 課税所得の範囲
居住者
(永住者)
国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいいます。 すべての所得(全世界所得)
居住者
(非永住者)
居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去十年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が五年以下である個人をいいます。 国内源泉所得及びこれ以外の所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの
非居住者 居住者以外の個人をいいます。 国内源泉所得

※居住者の定義にある「一年以上」の期間の計算の起算日は、入国の日の翌日となります。また、過去十年以内とは、判定する日の10年前の同日から、判定する日の前日までをいいます。国内に住所又は居所を有していた期間は、暦に従って計算し、1月に満たない期間は日をもって数えます。また、当該期間が複数ある場合には、これらの年数、月数及び日数をそれぞれ合計し、日数は30日をもって1月とし、月数は12月をもって1年とすることになります(所得税法基本通達2-4から2-4の3参照)。

2.住所とは

上記に規定する住所とは、各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定されることになります(所得税法基本通達2-1参照)。国内に居住することとなった個人が次のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有する者と推定されることになります(その者の生計を一にする配偶者や扶養親族も同様です。所得税法施行令第14条参照)。

1.その者が国内において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。

2.その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実があること。

いっぽう、国外に居住することとなった個人が次のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有しない者と推定されることになります(その者の生計を一にする配偶者や扶養親族も同様です。所得税法第15条参照)。

1.その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。

2.その者が外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと。

3.居所とは

居所とは、その者が相当期間継続して居住しているものの、その場所との結びつきが住所ほど密接でないもの、すなわち、そこがその者の生活の本拠であるというまでには至らない場所をいうものとされています。

4.国内に現に居住する非居住者・非永住者の区分

国内に居住する者については、次により非居住者、非永住者等の区分を行うことになります(所得税基本通達2-3参照)。

1.入国後1年を経過する日まで住所を有しない場合は、入国後1年を経過する日までの間は非居住者、1年を経過する日の翌日以後は居住者となります。

2.入国直後には国内に住所がなく、入国後1年を経過する日までの間に住所を有することとなった場合は、住所を有することとなった日の前日までの間は非居住者、住所を有することとなった日以後は居住者となります。

3.日本の国籍を有していない居住者で、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年を超える場合は、5年以内の日までの間は非永住者、その翌日以後は非永住者以外の居住者となります。

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