制服・作業服・スーツの支給と源泉所得税

社員や従業員に制服や作業服・ユニホームなどを支給した際の所得税上(従業員から見た場合に給与に該当し所得税の課税対象となるかどうか)の取り扱いについては以下のようになります(参照 所得税法施行令第21条第2号第3号 所得税法基本通達9-8 および国税庁HP「https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/27.htm(背広の支給による経済的利益)」など)。

(制服や事務服・作業服の取り扱いと所得税)
制服 非課税(給与所得として課税されない)

ここでいう制服とは、「ある集団に属する人が着るように定められた服装」をいい、警察職員、消防職員、刑務職員、税関職員、自衛官、鉄道職員などのように組織上当然に制服の着用を義務付けられている一定の範囲の者に対し使用者が支給する制服をいいます。
制服等の支給は使用者側の業務上の必要性に基づくものであって、給与所得者の勤務条件上も使用者が負担すべきものとされている場合が多く、また制服等の支給により得る給与所得者の経済的利益は一種の反射的利益であって、給与所得者に特別な利益を与えるものではなく、また、給与所得者の役務提供に対する対価という性格が極めて希薄なものであることから、制服の支給による利益は給与所得者にとって非課税の所得であるとして取り扱うこととされています。

事務服・作業服など 非課税(給与所得として課税されない)

上記の制服以外の事務服・作業服の支給も給与所得者にとっては非課税の所得となりますが、以下の条件を満たす必要があるものとされています。

1.専ら勤務する場所において通常の職務を行う上で着用するもので、私用には着用しない又は着用できないものであること
2.事務服等の支給又は貸与が、その職場に属する者の全員又は一定の仕事に従事する者の全員を対象として行われるものであること(更に厳格にいえば、それを着用する者がそれにより一見して特定の職員又は特定雇用主の従業員であることが判別できるものであること)。

上記のような要件を満たす事務服・作業服の支給については、それによって給与所得者が受ける経済的利益は、上記の制服等を支給した場合のそれと実質的に同じとみることができるため、源泉所得税の課税上同様に取り扱うことになっています。

スーツ・背広など 課税(給与の支給と同様に源泉所得税の徴収対象となります)

一般に背広やスーツなどは、私服やプライベートとしても着用することができ、その支給により給与所得者は経済的な利益を得ることとなるものと考えられますので、給与の支給と同様に所得税の課税対象となります。支給者側には給与の支給と同様に源泉所得税の徴収が求められます(社名の刺繍の入ったスーツなどで上記の事務服・作業服の要件を満たすようなものであれば非課税所得となる可能性もありますが、一般にスーツや背広の支給は現物であっても給与の支給と同様に源泉所得税の徴収対象となるものと考えられます)。

会社や事業主が社員や従業員にスーツや背広などを支給した場合、一般的には給与を支給した場合と同様に源泉所得税の徴収が必要となります。
なお、制服や事務服・作業費などを支給した会社側の仕訳は、そのための支出金額を『福利厚生費』などで処理することになります(詳細は福利厚生費の仕訳をご参照ください)。

スポンサードリンク